Vascular access dysfunction incidence among Japanese dialysis patients from NDB Open Data Japan
Kenta T. Suzuki, Kiyoshi Naemura & Yuichi Sakumura
Scientific Reports volume 15, Article number: 6523 (2025)
https://www.nature.com/articles/s41598-025-91034-8
奈良先端科学技術大学院大学データ駆動型生物学教室から内シャント治療に関する興味深い論文が出ました
2020-2022年度のNDB Openを使用し請求コードに基づいて、年間VA機能障害率と3か月再発率を計算。平均年間VA機能障害率は74.0%で、3か月再発率は16.9%であった。女性と高齢患者では、その割合が高く年齢は 正の相関関係にあった (ρ = 0.827–0.941)。
https://www.nature.com/articles/s41598-025-91034-8/tables/1
https://www.nature.com/articles/s41598-025-91034-8/figures/1
VA 機能障害率は都道府県によって異なっており、治療介入にかなりの地域差があるようですね。愛知県や中部地方と宮城県が多いようです。
https://www.nature.com/articles/s41598-025-91034-8/figures/2
Kコードの分析なので重複カウントによって内シャント機能障害率がオーバーカウントされていると感じましたが治療数の把握にはなり、改めて内シャント機能障害によるPTA医療費が莫大な額になっていることがわかります。
手技料だけで
(184,008+37,590)件*120,000円=265億9176万円
いちばん安いデバイスで医療材料を計算
(184,008+37,590)件*(バルーン37,800円+ガイドワイヤー13,700円)=114億1229万円
足すと、手技料と医療材料の最低値概算で380億405万円という莫大な額になり、実際は400-500億円以上になることが推測されます。
PTA以外にも下記にて請求するケースもあり、これらを追加するとさらに増えるでしょう。
内シャント血栓除去術 3590点
四肢の血管拡張術・血栓除去術 22,590点
内シャント造設術 12080点
人工血管内シャント造設術 30290点
上腕動脈表在化法 5000点
シャントPTAたった1回分の手術コストで腹膜透析に切り替え可能です、追加治療も不要です。
血管に乏しい高齢者にはますます腹膜透析を勧めるべきです。
K653-3 テンコフ留置術 12000点
透析医学会でも内シャント治療のセッションは立ち見が出るほど大盛況です。それだけ、トラブルが多いということなのです。
シャントPTAは病院のドル箱になっており、病院経営が厳しい昨今、手放したくないのもわかりますが、患者中心医療の時代ですので、患者に苦痛を与え社会コストを押し上げる治療は一刻も早くやめるべきです。