- 高齢患者に機械的に適用され、鎮静と脱水によって手間をかけずに死なせるための手順書と化してしまっているとの告発
- まだかなり生きられる高齢患者がLCPによって殺されている可能性が高いこと
- エビデンスもなしに始められるLCPは、もはやケア・パスというよりも幇助死パスウェイと化してしまっていること
2025年2月17日月曜日
非がん患者への緩和ケア提供は大切だが死への誘導にならぬようきわめて慎重に行うべき Liverpool Care Pathway から学ぶこと Providing palliative care to non-cancer patients is important, but should be done very carefully so as not to lead to death. Lessons Learned from the Liverpool Care Pathway.
2024年12月24日火曜日
なぜ、透析患者は「安らかな死」を迎えることができないのか? Why can't dialysis patients die “peacefully”?
なぜ、透析患者は「安らかな死」を迎えることができないのか?
10年以上におよぶ血液透析、腎移植、再透析の末、透析を止める決断をした夫、その壮絶な最期を看取った経験をもとにノンフィクション作家堀川恵子さんが講談社から新刊を出版されます。 https://amzn.asia/d/9T7g0r4 献本を先程読了いたしました。 取材に基づいた事実の積み重ねによって、極めて正確に問題点をえぐり出してくれています。これまでの透析医療についての出版物とは異なり重厚な考えさせる内容になっています。 腹膜透析という選択肢についても詳細に記載していただきました。鹿児島へも複数回取材にお越しいただき、その内容も詳しく紹介していただいています。 腹膜透析の章では私共もお馴染みの先生方が登場され、裏話や苦労話もあって面白くあっという間に読んでしまいました。 東北医科薬科大学森建文先生 かしま病院 中野広文先生 柴垣医院 柴垣圭吾先生 東京医大 竹口文博先生(監修) さいごに、日本腎臓病学会理事長・東大教授の南学正臣先生が日本の現状を俯瞰された解説を書かれています ぜひ一読をお勧めいたします <目次> 序章 《第一部》 第1章 長期透析患者の苦悩 第2章 腎臓移植という希望 第3章 移植腎の「実力」 第4章 透析の限界 第5章 透析を止めた日 《第二部》 第6章 巨大医療ビジネス市場の現在地 第7章 透析患者と緩和ケア 第8章 腹膜透析という選択肢 第9章 納得して看取る 献体――あとがき 解説 南学正臣(日本腎臓学会理事長)2024年12月23日月曜日
透析導入を見合わせた患者の長期経過についてのシステマティックレビュー JAMA Network Open March. 14, 2022
透析導入を見合わせた患者の長期経過についてのシステマティックレビューがJAMA Network Open March. 14, 2022に掲載されました
Long-term Outcomes Among Patients With Advanced Kidney Disease Who Forgo Maintenance Dialysis: A Systematic Review. Wong SPY, Rubenzik T, Zelnick L, Davison SN, Louden D, Oestreich T, Jennerich AL.JAMA Netw Open. 2022 Mar 1;5(3):e222255. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2022.2255. https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2790040 Invited Commentary | Nephrology Conservative Care for Kidney Failure—The Other Side of the Coin Christine K. Liu, MD, MS; Manjula Kurella Tamura, MD, MPH file:///C:/Users/sshu1/Desktop/liu_2022_ic_220027_1646681703.24293.pdf 41のコホート研究から進行した腎機能障害のある成人5102人を対象 range, 11-812 patients/cohort observation period of 8 to 24 months 5%-99% men mean age range, 60-87 years eGFR 7 to 19 mL/min/1.73 m2 Median survival 1 to 41 months 経過中1-2回の6-16日間の入院 7-8回の外来受診と2回の救急外来person-year受診回数 終末期まで精神状態や身体状態、QOLは保たれていた 死亡の場所 20% to 76% ホスピス, 27% to 68% 病院 and 12% to 71% 自宅 死亡した患者の経過中57% to 76%が入院、4% to 47%が死亡前1ヶ月に侵襲的な治療 終末期まで比較的症状は安定しているが急性期医療サービスの利用は一般的でCKMの提供についてはばらつきが大きかった透析の見合わせ・終了の実態 2022/05/17 日経メディカル
日経メディカルの良記事 よくまとまっています
全国調査で透析の見合わせ・終了の実態が初めて明らかに 全国での透析見合わせ・終了は2年で1409例 2022/05/17 小板橋律子 日経メディカル 東邦大学医療センター大森病院腎センター主任教授の酒井謙氏らによる、日本医療研究開発機構(AMED)の長寿科学研究開発事業である「高齢腎不全患者に対する腎代替療法の開始/見合わせの意思決定プロセスと最適な緩和医療・ケアの構築(研究代表 柏原直樹氏)」の研究の一環として、全国における透析見合わせ(非開始)や終了の現状を調査。 https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/report/t340/202205/574956.html高齢腎不全患者に対応する医療・ケア従事者のための意思決定支援ツール
東京大学上廣死生学・応用倫理講座
https://www.l.u-tokyo.ac.jp/dls/ 会田先生の臨床倫理プロジェクトのページから【高齢腎不全患者に対応する医療・ケア従事者のための意思決定支援ツール】がダウンロードできます https://www.l.u-tokyo.ac.jp/dls/cleth/tool.html マンガで分かりやすい内容になっています 第1章 「維持血液透析を『やめたい』と患者さんがいうとき」 第2章 「カンファレンスの方法―保存的腎臓療法の選択を検討する事例を題材に」 第3章 「認知機能が低下した高齢患者のための意思決定支援」 第4章 「多職種連携による共同意思決定(SDM)のあり方 ― 維持血液透析の見合わせ・看取りの症例を題材に」 このような形で高齢腎不全について考えるきっかけになることは良いことですが この元になるAMED研究分担者は、大学所属の先生たちで構成されており、しかも研究方法は施設アンケートが中心であるため、リアルな臨床現場の状況反映がまだまだ不十分であると感じました 経験の浅い中途半端な知識を持つ医療スタッフにありがちなことですが このようなツールが不適切に使用され、適切な治療提案が行われず、非導入・緩和ケア、偽装された安楽死への誘導にならぬよう注意しなければなりません AMED研究開発課題「高齢腎不全患者に対する腎代替療法の開始/見合わせの意思決定プロセスと最適な緩和医療・ケアの構築」(研究代表者:川崎医科大学副学長 腎臓・高血圧内科学教授 柏原直樹氏) 会田薫子先生分担班の研究開発課題「高齢腎不全患者(人生の最終段階を含む)に対する共同意思決定による最適な腎代替療法選択、非導入の意思決定プロセスの構築」肝硬変大量腹水腎不全患者の腹膜透析とアルブミン投与
肝硬変大量腹水腎不全患者に腹膜透析導入することがあります
腹膜透析導入により腹満改善し食事量は増えることが多いですが、それでも排液に喪失するアルブミンも多いのでアルブミンの投与が必要なケースが殆んどです このような非代償性肝硬変低アルブミン血症へのアルブミン投与量の制限は現在なくなっています(レセ詳記は必要) SBP予防や薬物キャリアーとしてのアルブミンの補充効果が期待できます、下記記事がよくまとまっています 大きく変わった肝硬変診療におけるアルブミンの使い方 2021/12 ~知っておくべき知識のアップデート~ 奈良県立医科大学消化器代謝内科 教授 吉治 仁志 先生 https://www.jbpo.or.jp/med/jb_square/alb/report/01/01.php高齢腎不全患者へのサポーティブケア(SC)について NHSインペリアルカレッジホスピタル FitzGerald Clinical Kidney Journal 2023年4月号
高齢腎不全患者へのサポーティブケア(SC)についてNHSインペリアルカレッジホスピタルFitzGeraldらがClinical Kidney Journal 2023年4月号によくまとまったレビューを書いています
A review of supportive care for older people with advanced chronic kidney disease Ted J FitzGerald, Hanneke Joosten, Marjolijn van Buren, Katie Vinen, Edwina A Brown Clinical Kidney Journal, Volume 16, Issue 4, April 2023, Pages 635–646, https://doi.org/10.1093/ckj/sfac256 https://academic.oup.com/ckj/article/16/4/635/6881382 なかなか実用的な内容でしたので箇条書きで紹介したいと思います(フリーダウンロードできます) サポーティブケア(SC)では、生存延長を目指す治療法ではなく、個々の生活の質を改善することに焦点をあてるべき 高齢者において透析や移植の利点は明らかではない 現在のエビデンスでは透析と非透析の健康関連QOL(HRQOL)は類似している 治療法・予後について患者と正直にコミュニケーションを取ることが重要 予後ツールは加齢による死亡リスクが競合するためリスクを過大評価しがち 予後予測短いとCKM、長ければ移植や透析を選択する傾向あるが、予後予測の不正確性も理解しておく必要がある カウンセリングでは透析のメリットを誇張しないことが大切 「透析はあなたを再び若くすることはありません」などの記述を含め、透析開始後の機能および認知機能の低下リスクと、これが介護者の負担にどのように影響するかについて議論すること 腎代替療法のタイミング 早すぎると不要な内シャント造設につながる 血管アクセスが使用される前に15.1%が死亡し、2年間の追跡調査の終わりに17.5%が透析なしで生存していた 遅すぎると緊急透析導入となり在宅透析や CKM を検討する機会が失われる SC戦略 図1 加齢・フレイル・併存疾患・原疾患の進行などCKD journeyに応じた対応 SDM ACP 症状アセスメントとマネージメント クライシスプランニング エンドオブライフケアプランニング Deciding not to decide(決めておかないことを決める)という選択肢もあり 症状管理に抗てんかん薬ガバペンチノイド(ガバペン)がよく使われているようです(表1) そう痒症、レストレスレッグス症候群、神経因性疼痛に確かに効果あります (日本では通常の抗てんかん薬が効かない時しか保険処方できないので使える場面は限定的ですがすでに処方ある場合は追加処方可能です) 表 5:高齢者における PD と HD の比較 よくまとまっています 文化を超えたSC 英米での医療倫理では患者の自律性(オートノミー)は確立している しかし、世界の他の地域では患者のためにできる限りのことをしないことは家族の不名誉であると考えられている伝統から、病状の真実を患者本人に伝えず、家族による意思決定が行われている。これらの文化の違いは、患者、家族、臨床医の間の対立につながります。したがって、異文化間の誤解を減らすための戦略が必要となる。 図2:SC プログラムのためのフレームワークとインフラストラクチャの確立 SCトレーニング 2015 年の KDIGO Controversies in Supportive Care Conferenceでは、腎臓専門医の SC トレーニングが優先事項として強調されていた緩和的腹膜透析
緩和的腹膜透析Palliative PDについて
【呼吸困難や尿毒症などの症状緩和を可能とし最期までケアされていることが実感できるような腹膜透析療法】と定義 Nefrologia2015;35(2):146-149 教育講演5 「 Palliative PD」 司会: 伊丹義友(伊丹腎クリニック) ED-5 Palliative PD 楠本内科医院 楠本拓生 シンポジウム4 「 高齢者PDの実践メソッド」 司会: 平松信(岡山済生会外来センター病院)宮崎正信(宮崎内科医院) SY-4-5 老人ホーム・介護施設におけるPalliative PD(緩和的腹膜透析) 川原腎泌尿器科クリニック 腎不全外科 松本秀一朗 【欧米に寝たきり老人はいない】https://amzn.asia/d/gpEJiPj の宮本礼子先生から下記のようなご指摘をいただきました 「緩和的腹膜透析が普及してゆくと、悪徳慢性期病院・施設でまん延している経管栄養や中心静脈栄養のように過剰医療や延命治療のツールになってしまわないか心配」 極めて重要な論点と思いましたので、まとめておきたいと思います ①そもそも、医療介護全般での性善説に基づく管理は失敗してきているという事実があること ②一方で我が国では過剰医療にたいして否定的な世論はすでに醸成されている ③社会的入院血液透析がたんに社会的腹膜透析入院とならぬよう、地域で生活し看取りまで行うシステム構築が必要 ④同時に聖域なしの安楽死法制化議論も必要 ⑤どこでどのような医療介護が行われているのか見える化、患者が病院・施設で社会から隔離されないよう監視が必要(病院・施設のネット配信など) ⑥慢性期病院・施設だけではそもそもPD管理はできなので側方支援メンターシップが必要であるし、仮に自前でやろうとしても維持継続はとうてい困難な医療看護レベル(私の経験) いずれにしても、緩和的腹膜透析による恩恵をうけることができる患者が潜在的に数多くいることは事実ですので、医療者側としてまずは、きちんと提供できるようにする責務があります その上で、過剰医療や延命治療のツールにならぬよう、留意してゆくということになるでしょう難治性腹水・悪性腹水の症状緩和目的のテンコフカテーテル留置
悪性腹水に対する標準治療は確立していません。国際的に腹腔穿刺ドレナージが最も広く行われていますが、国内では「抜くと弱る」懸念から医療者や患者がドレナージを躊躇することがあります。その中でCART(腹水濾過濃縮再静注法:ドレナージした腹水を濾過濃縮したのちに静注して身体に戻す治療)が一定の支持を得ています。しかしCARTの有効性安全性は検証されておらず、「抜くと弱る」問題を解決できるのか未だ分かっていません。同じく腹水を体循環に戻す治療である腹腔静脈シャントは、侵襲やDICなどの有害事象があることから国際的にはほとんど行われなくなりました。また欧米では腹水ドレナージの際、毎回穿刺するのではなく、腹腔内にカテーテルを埋め込んで在宅で管理する方法が主流になってきています。このセッションでは最新のエビデンスに基づいて各治療法を解説し、現場での臨床判断に役立つ情報を提供します。さらに、今後の研究課題を見出し、さらなるエビデンスの蓄積に繋げたいと思います。
臨床では下記のようなケースをしばしば経験します ①維持血液透析患者の癌性腹膜炎や肝硬変難治性腹水にたいしテンコフカテーテルを留置し緩和的腹膜透析を導入するケース ②癌性腹膜炎や肝硬変難治性大量腹水によるACS(Abdominal compartment synd.)利尿剤抵抗性腎機能低下にたいしテンコフカテーテルを留置し緩和的腹膜透析を導入するケース 癌性腹水にたいするテンコフカテーテルも欧米の緩和ケア領域で活用されています 入院回避や複数回穿刺のストレスから開放されるメリットがあります 以下にまとめておきます 癌性腹水にたいするテンコフカテーテルの有用性は、1989年イングランドBirmingham総合病院のLomasらによって初めて報告され Palliation of malignant ascites with a Tenckhoff catheter. Lomas DA, Wallis PJ, Stockley RA. Thorax (IF: 9.14; Q1). 1989 Oct;44(10):828. 2000年ころより緩和ケア目的のテンコフカテーテル使用の報告が増加しています 2000年、シンガポールTan Tock Seng HospitalのA. Leeらは45例の癌性腹水にたいするテンコフカテーテル挿入についてレトロスペクティブに検討 Indwelling catheters for the management of malignant ascites. Lee A, Lau TN, Yeong KY. Support Care Cancer (IF: 3.6; Q3). 2000 Nov;8(6):493-9. 全例45例で挿入可能で速やかに症状緩和が可能、ただし合併症は多い印象、13例でカテーテル抜去(敗血症6例 閉塞5例 被包化腹水2例) 国内では 2005年 取手協同病院前田益孝先生らが難治療性腹水、腎不全を合併した末期癌患者への治療としてテンコフカテーテルを留置した2例を農村医学会で報告 https://www.jstage.jst.go.jp/article/nnigss/54/0/54_0_116/_article/-char/ja/ エコーガイド透視下留置については 2001年、MGHのO'Neill MJらが24例のエコーガイド透視下カテーテル留置の有用性を報告 16Frピールアウェイシースを使用し120cm,5-French catheter (Davis; Cook)を留置 Tunneled peritoneal catheter placement under sonographic and fluoroscopic guidance in the palliative treatment of malignant ascites. O'Neill MJ, Weissleder R, Gervais DA, Hahn PF, Mueller PR. AJR Am J Roentgenol (IF: 3.96; Q2). 2001 Sep;177(3):615-8. 多症例での検討として 2018年、メイヨークリニックのJennifer A Knightらが137例(119例悪性腹水・18例非悪性難治性腹水)にたいするテンコフカテーテルの有用性を報告 Safety and Effectiveness of Palliative Tunneled Peritoneal Drainage Catheters in the Management of Refractory Malignant and Non-malignant Ascites. Knight JA, Woodrum DA. Cardiovasc Intervent Radiol (IF: 2.74; Q3). 2018 May;41(5):753-761. 全例直後より症状緩和可能で術直後の合併症はなし、さすがメイヨークオリティです 合併症は、カテーテル関連感染症9例、リーク8例、カテ先異常2例、閉塞2例 90%で死亡時もカテーテル使用継続
以上のように欧米では難治性腹水・悪性腹水ともに症状緩和目的にテンコフカテーテルを使用しており頻回穿刺が回避できるよい効果的な緩和ケアとして普及しています
1: Macken L, Hashim A, Mason L, Verma S. Permanent indwelling peritoneal catheters for palliation of refractory ascites in end-stage liver disease: A systematic review. Liver Int. 2019 Sep;39(9):1594-1607. doi: 10.1111/liv.14162. Epub 2019 Jul 17. PMID: 31152623. 2: Caldwell J, Edriss H, Nugent K. Chronic peritoneal indwelling catheters for the management of malignant and nonmalignant ascites. Proc (Bayl Univ Med Cent). 2018 Jun 1;31(3):297-302. doi: 10.1080/08998280.2018.1461525. PMID: 29904292; PMCID: PMC5997061. 3: Knight JA, Thompson SM, Fleming CJ, Bendel EC, Neisen MJ, Neidert NB, Stockland AH, Bjarnason H, Woodrum DA. Safety and Effectiveness of Palliative Tunneled Peritoneal Drainage Catheters in the Management of Refractory Malignant and Non-malignant Ascites. Cardiovasc Intervent Radiol. 2018 May;41(5):753-761. doi: 10.1007/s00270-017-1872-1. Epub 2018 Jan 17. PMID: 29344716. 4: Solbach P, Höner Zu Siederdissen C, Taubert R, Ziegert S, Port K, Schneider A, Hueper K, Manns MP, Wedemeyer H, Jaeckel E. Home-based drainage of refractory ascites by a permanent-tunneled peritoneal catheter can safely replace large- volume paracentesis. Eur J Gastroenterol Hepatol. 2017 May;29(5):539-546. doi: 10.1097/MEG.0000000000000837. PMID: 28350743. 5: Bohn KA, Ray CE Jr. Repeat Large-Volume Paracentesis Versus Tunneled Peritoneal Catheter Placement for Malignant Ascites: A Cost-Minimization Study. AJR Am J Roentgenol. 2015 Nov;205(5):1126-34. doi: 10.2214/AJR.15.14484. PMID: 26496562. 6: Lungren MP, Kim CY, Stewart JK, Smith TP, Miller MJ. Tunneled peritoneal drainage catheter placement for refractory ascites: single-center experience in 188 patients. J Vasc Interv Radiol. 2013 Sep;24(9):1303-8. doi: 10.1016/j.jvir.2013.05.042. Epub 2013 Jul 19. PMID: 23876552.宮本礼子・顕二「高齢者の終末期医療はよくなったのか」
読売新聞の連載
宮本礼子・顕二「高齢者の終末期医療はよくなったのか」 第6回 増え続ける高齢者の腎不全、どうする? 透析も腎移植もしない保存的腎臓療法も選択肢 2023年10月6日 https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20230927-OYTET50007/?catname=column_shumatsuki-iryo 鹿児島での腹膜透析患者さんの取材も取り上げていただきました 第3者の視点でバランスよく高齢者腎不全について紹介していただいていますJSDT2024 シンポジウム 12 高齢透析患者の終末期管理
JSDT2024 シンポジウム 12 高齢透析患者の終末期管理
下記のように企画しています 抄録アップしておきますので質問や提案、コメントなどありましたらよろしくお願いいたします 2024 年 6 月 8 日(土) 8:00-10:00 会議センター 3F 315 司会:森 建文(東北医科薬科大学) 司会:松本 秀一朗(川原腎泌尿器科クリニック) SY-12-1 高齢腎不全患者における CKM 選択の在り方と管理 角谷 裕之(川崎医科大学高齢者医療センター高齢者総合診療科) SY-12-2 末期腎不全患者の在宅看取り 柳 麻衣(日本赤十字社医療センター腎臓内科) SY-12-3 透析見合わせの法律的解釈 竹口 文博(東京医科大学腎臓内科学分野) SY-12-4 高齢腎不全患者の在宅終末期管理 ~看護師の立場から~ 益満 美香(川原腎泌尿器科クリニック腎不全外科) SY-12-5 高齢腎不全患者の在宅終末期管理と病診連携 ~緩和的腹膜透析・保存的腎臓療法~ 矢花 郁子(東北医科薬科大学病院腎臓内分泌内科)松山日赤岡英明先生よりRenal Replacement Therapy誌に腹膜透析患者の死亡場所と死因についての検討を論文にされています
これまで腹膜透析患者にフォーカスを当て検討はなかったと思います
示唆に富む内容になっています
The place and cause of death of Japanese peritoneal dialysis patients
Renal Replacement Therapy volume 10, Article number: 41 (2024)
https://rrtjournal.biomedcentral.com/articles/10.1186/s41100-024-00552-0
2008-2022年 愛媛県3ヶ所の急性期病院(腹膜透析患者数の80%をカバー)94例の腹膜透析患者死亡例をレトロスペクティブ解析
死亡の場は、急性期病院66% 慢性期病院5% 高齢者施設4% 自宅25%
死因は、院内死亡例では感染症が、院外死亡では心臓突然死が多かった
末期腎不全患者の終末期の腎代替療法としてはHDよりもPDの方が適している
PD患者の在宅看取りを増やすためには、感染症の予防、心血管疾患治療・予防介入の強化、ACP 推進、在宅医との連携強化が重要であると述べている
愛媛県の腹膜透析患者在宅死25%というのは、血液透析患者に比べると圧倒的に高い数字ですね
在宅医との連携においては、終末期腹膜透析患者に、これまで関わってきた(急性期医療機関)医療者がどのように継続して関わり貢献できるのか
社会的孤立にならぬよう社会的処方に積極的に関わること
グリーフケアに個人としてどう関わるべきか
SNSをはじめとしたIoTを活用することがより重要になってゆくでしょう
2020年に新型コロナ感染症流行をきっかけに、在宅看取り希望が以前にもまして増え
私ども(鹿児島)は腹膜透析在宅看取りがほぼ100%になっています
ACP 推進、在宅医との連携強化が大切なこと全くそのとおりです
予測される病状推移(Trajectory)を患者・家族と共有、ネガティブな事実であっても正直にお伝えし、症状緩和に努めることや最期まで見離さないことを約束します
ACPに関連して
コロンビア大学緩和ケア科の中川俊一先生(大学同級で元医局北大第1外科同門です)が新刊を出されました、ACPの現場で必要なエッセンスがまとめられています
【米国緩和ケア専門医が教える あなたのACPはなぜうまくいかないのか?】
https://amzn.asia/d/2Yxno85
ACPの場面で冷静に対応することができるアプローチについて解説していて興味深いです
過剰医療が経済原理で排除されているアメリカと日本の現状に違いこそあれ、ACPの本質は同じであると気付かされます
相手の理解力を確かめる, 病状は2分以内にまとめる, 医療者は会話の50%以上話してはいけない, 質問にはワンワードワンセンテンスで答える……, 「何をすべきで, 何をすべきでないのか」をスキルとして明快に解説しています。
ぜひ一読をおすすめいたします
目次を引用しておきます
Ⅳこんなときどうするか?
01 「私は死ぬんですか? 」
02 「本人には言わないで」
03「ICUで外科手術後の患者。術後4週が経過。もうどう見ても救命できそうにないのに外科医の意向が強すぎて,家族との話し合いを始めることすらできない」
04 「3ステージのアプローチは理解できる。でも,そんなのやる時間がないよ」
05 「先生にすべてお任せします」
06 「先生が家族だったらどうしますか? 」
07 「もしものことなんて縁起でもない!」
08 「ACPでは治療のことは話すなというけど,その話になったらどうするの? 」
09 「2nd ステージを先にやっちゃだめ? 」
10 「それ明らかに本人の意向と違うんじゃない?!」
Ⅴコミュニケーションのコツ
01 「残念」はbad word
02 副詞を強調する
03 NURSE は目的ではなくて手段
04 同じフレーズでも言い方次第で伝わり方が変わる
05 「頑張ってきたのはわかります」はNG
06 「〇〇が必要ですが,どうしますか? 」
07 決断をその場で無理強いしない。北風と太陽の話
08 医療者の価値観を押しつけるのはご法度
09 しつこすぎるinvitation
10 反復という名のオウム返し
11 沈黙の使い方
12 「私」vs「私たち」
13 相手の立場に立って考える。「患者に寄り添う」必要はあるのか?
松山日赤岡先生よりコメント
このような場で論文を御紹介頂きまして光栄です。松山日赤の岡です。論文ではFig, Table数が限られるため、皆様に伝わり難い部分もあるかと思いますので昨年のJSPDの発表スライドをpdfで添付させて頂きます。 先ず3施設の病院死率は67,71,74%でばらつきは少なく概ね7割、残り3割が在宅死(自宅or施設)でした。但し今回の検討では自宅で急変後に病院に搬送されてそのまま看取りになった症例も「在宅死」に分類しております点はご注意下さい。 今回の大きなメッセージは病院か病院外かで死因に大きな違いがあるという点です。在宅で亡くなれる疾患と病院でしか亡くなれない疾患があります。当たり前ですが在宅医との連携・看取り依頼をしていなければ、いくら本人と家族が在宅を希望しても、急死しない限り病院に連れていかれて病院で亡くなります。今回の院外死27名の内、在宅医で看取られたのは数名で、多くが比較的若いDM・CAD既往患者の突然死でした。脳卒中、悪性腫瘍の合併症も急死でした。院外死の方が平均年齢が若いのもそのような理由があります。 この研究を行ったのも薄々PD患者の突然死が多いことに気付きつつ、病院死がHDよりは少ないこと(死因の内容はともかく)を示したかったことと、今まで愛媛県では在宅医との連携を進められていなかったことを反省する為でした。その反省を生かして2022年以降、愛媛県では在宅医との連携が進み始め、この2年間で当院フォロー患者の在宅死率(多くが患者・家族の希望/非突然死)は4~5割を超えてきました。訪看だけでなく在宅医との連携が構築できると安心して高齢者にラストPDを勧められる好循環が出来ると感じています。この2年間の当院のPD導入時平均年齢は78歳まで引き挙がっています。 ACPの話題が出ましたので、以下私見です。 高齢CKD患者の腎代替療法SDMがACPとほぼイコールだと思っています。多くの高齢CKD患者が、最初に選択したモダリティのまま最期を迎えていると思います。2nd-SDMの機会を与えられれば幸せですが、HDを選んだ殆どの高齢患者が病院で亡くなっていると思います。しかも亡くなる前には入院して濃厚な医療を受けるか長期療養入院しているパターンが多いのではないかと思います。一方、在宅医との連携が進んだ地域でPDを選択した場合は高確率で自宅ないし施設で最期を迎えられると思います。例え在宅医との連携が進んでいない場合でも、PD選択によってより長い時間を在宅で過ごすことは可能と思いますの。「ACP」と言う言葉に拘らず、療法選択時に希望する最期の迎え方やADLが低下した場合にどこで療養したいか、を確認していけば自ずとモダリティや必要な社会資源が決まってくるのかなと思っています。
シリコーンカテーテルとヨードについて テンコフカテーテル出口部のイソジン消毒に関する考察 Silicone Catheters and Iodine. Considerations for Iodine Disinfection of Tenchoff Catheter Exit Site.
私どもは、下記のような感染リスクの高い患者には、イソジンゲルを出口部処置にルーチンで使用 しております 低栄養・ 緊急導入・ 高度尿毒症・ 糖尿病・ ステロイド・ 超高齢など しかしながら、テンコフカテーテル添付文書に、下記のように書かれており、イソジンの使用は大丈夫なのかと、よ...
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腹膜透析と血液透析の治療成績はほぼ同等であると言われているにもかかわらず、腹膜透析が普及していない原因についてはさまざま指摘されていますが、テクニカルにはいずれも克服できるものであると考えられています。 Epidemiology of peritoneal dialysis ...
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2025年1月12日 m3.com医療維新、松永正訓(ただし)先生の連載「けっこう楽しい開業医ライフ」に、【医師こそ読むべき『透析を止めた日』】というタイトルの記事がアップされました。 https://www.m3.com/news/iryoishin/1252044 本質を突...
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当院では、局所麻酔&腹壁ブロック+プレセデックス鎮静による、小開創テンコフカテーテル留置術を採用してきました。手術時間は20-30分程度、特別な機器も必要とせずカテーテルトラブルも少ない安定した術式です。 さらなる術式改良を目指し、低侵襲な術式の改善を模索してきました。 最...