高齢腎不全患者へのサポーティブケア(SC)についてNHSインペリアルカレッジホスピタルFitzGeraldらがClinical Kidney Journal 2023年4月号によくまとまったレビューを書いています
A review of supportive care for older people with advanced chronic kidney disease Ted J FitzGerald, Hanneke Joosten, Marjolijn van Buren, Katie Vinen, Edwina A Brown Clinical Kidney Journal, Volume 16, Issue 4, April 2023, Pages 635–646, https://doi.org/10.1093/ckj/sfac256 https://academic.oup.com/ckj/article/16/4/635/6881382 なかなか実用的な内容でしたので箇条書きで紹介したいと思います(フリーダウンロードできます) サポーティブケア(SC)では、生存延長を目指す治療法ではなく、個々の生活の質を改善することに焦点をあてるべき 高齢者において透析や移植の利点は明らかではない 現在のエビデンスでは透析と非透析の健康関連QOL(HRQOL)は類似している 治療法・予後について患者と正直にコミュニケーションを取ることが重要 予後ツールは加齢による死亡リスクが競合するためリスクを過大評価しがち 予後予測短いとCKM、長ければ移植や透析を選択する傾向あるが、予後予測の不正確性も理解しておく必要がある カウンセリングでは透析のメリットを誇張しないことが大切 「透析はあなたを再び若くすることはありません」などの記述を含め、透析開始後の機能および認知機能の低下リスクと、これが介護者の負担にどのように影響するかについて議論すること 腎代替療法のタイミング 早すぎると不要な内シャント造設につながる 血管アクセスが使用される前に15.1%が死亡し、2年間の追跡調査の終わりに17.5%が透析なしで生存していた 遅すぎると緊急透析導入となり在宅透析や CKM を検討する機会が失われる SC戦略 図1 加齢・フレイル・併存疾患・原疾患の進行などCKD journeyに応じた対応 SDM ACP 症状アセスメントとマネージメント クライシスプランニング エンドオブライフケアプランニング Deciding not to decide(決めておかないことを決める)という選択肢もあり 症状管理に抗てんかん薬ガバペンチノイド(ガバペン)がよく使われているようです(表1) そう痒症、レストレスレッグス症候群、神経因性疼痛に確かに効果あります (日本では通常の抗てんかん薬が効かない時しか保険処方できないので使える場面は限定的ですがすでに処方ある場合は追加処方可能です) 表 5:高齢者における PD と HD の比較 よくまとまっています 文化を超えたSC 英米での医療倫理では患者の自律性(オートノミー)は確立している しかし、世界の他の地域では患者のためにできる限りのことをしないことは家族の不名誉であると考えられている伝統から、病状の真実を患者本人に伝えず、家族による意思決定が行われている。これらの文化の違いは、患者、家族、臨床医の間の対立につながります。したがって、異文化間の誤解を減らすための戦略が必要となる。 図2:SC プログラムのためのフレームワークとインフラストラクチャの確立 SCトレーニング 2015 年の KDIGO Controversies in Supportive Care Conferenceでは、腎臓専門医の SC トレーニングが優先事項として強調されていた
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