アメリカでは2019年の大統領令The Advancing American Kidney Health initiativeによってセンター透析を減らし在宅透析と腎移植への推進方針が打ち出され
https://www.kidney.org/advocacy/advancing-american-kidney-health-initiative 腎臓内科フェロー教育においても在宅透析が今まで以上に必要であるという認識が高まっています UofPennのReddyらがKidney Medicine March17,2023に米国腎臓内科フェロー教育に必要な在宅透析トレーニングについてプログラム責任者にアンケート調査を行った結果を報告しています https://www.kidneymedicinejournal.org/article/S2590-0595(23)00038-9/fulltext?dgcid=raven_jbs_aip_email#supplementaryMaterial アンケート教育施設はUofPennをはじめ、Cleveland Clinic,UofToronto,Vanderbilt Universityなどの超一流どころ43名のプログラムディレクターと31名のディビジョンチーフからの回答となっています 腹膜透析を20名以上管理しているプログラムが77%で、50名以上管理しているのが37%でした ちなみに在宅血液透析は4-6名が23%と最も多く、15名以上が28%でした 腹膜透析教育には10-12回の外来セッションと11-15名の在宅患者管理が必要と答えたのが最も多く フェローシップ終了時に監督なしに医学管理が可能と答えたのは腹膜透析72%、在宅血液透析30%でした このアンケートのニュアンスは外来管理能力についてですね https://www.kidneymedicinejournal.org/cms/10.1016/j.xkme.2023.100629/attachment/336f9f07-5b2c-4861-8f47-cc4360b80355/mmc1.pdf フェローシップ終了後も virtual home dialysis mentorship programが必要と回答したのが74%でした 日本では腎臓内科・透析専門医取得後、自立して腹膜透析外来が可能な医師は4人に1人もいないのではないでしょうか(指導医でもその程度でしょう) 欧米先進国の学会の主要な役割の一つは教育プログラムの管理です 学会による厳しい評価をうけ質の悪いところは教育施設から外されるようになっています そのため各教育施設はフェロー獲得のために洗練された教育プログラムを提供するように競争しています 1流施設の腎臓内科フェローシップのカリキュラムをみると、古典的腎臓内科(CGN管理など)、透析内科(血液・腹膜)、腎移植内科、インターベンションの4つができて一人前の専門医となるように教育プログラムが設計されています 日本では専門医機構や腎臓関連学会と教育施設の間にはそのような緊張関係はありません 各地域で伝統芸能的に無秩序な専門医教育が行われているのが現状であり残念に感じることも多いです 例外的な学会として施設集約化を進めている日本心臓血管外科学会は、心臓血管外科手術が3年間平均して100例/年以上あることなどを認定修練施設(基幹施設)認定の条件にしています 専門医更新も、5年間に論文3篇、難易度B以上50例を含む100例以上の手術経験とまあまあの基準になっています しかしそのためか、心臓血管外科志望者は減少傾向のようです https://dx-mice.jp/jpats_cms/files/info/1203/HP_Final.pdf 腎臓内科・透析専門医基準を厳しくすることも一案ですが、そうすると担い手が減る恐れがあります それよりも魅力あるキャリアパスや研修プログラムを具体的に提案することのほうが大切なのでしょう
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