腹膜透析が選択されない大きな原因の一つは、不適切な説明といわれています。
ひどいときには腹膜透析の説明自体がまったくなされていないことも珍しくありません。
腹膜透析が説明されない理由は、医療者の知識・経験不足が背景にあると指摘されています。
適切な腎代替療法教育を受けると、50%以上が腹膜透析を選択することが示されています。
Transplant Proc 2019 Jun;51(5):1321-1324.
高齢化社会の進んだ我が国では、もっと選択されても良いはずです。
じっさい、私のクリニックでは、治療法と訪問看護利用について丁寧に説明すると、75歳以上の高齢者では、90%以上が腹膜透析を選択されます。
【不適切な腎代替療法説明シリーズ】として、問題提起を兼ねて、備忘録的に記録を残しておこうと思います。
【移植腎廃絶後に腹膜透析を希望したが医学的に不正確な説明をされたケース】
30台女性、生体腎移植術12年目 移植腎廃絶し、透析導入が必要となった
針に刺されるのが苦手、自宅でできる腹膜透析を希望したところ、担当医からは「残存腎機能がないためすぐに腹膜炎になるから出来ない」と説明され断念、内シャント造設を行ったところで、まつもとクリニックホームページをみてメールで相談がありました
「まったく問題なくできます!」、と即答させていただきました
担当医の説明には全く根拠がありません、近隣の腹膜透析に詳しい医師を紹介させていただきました
わたくしのところでも、移植腎廃絶後の腹膜透析をされている患者さんがおられますがお元気に過ごされています
かかりつけ病院のホームページを見ると、担当医は、透析専門医・指導医、腹膜透析認定医などの肩書が並んでいますが、実態はこのようなことで実力がなくても専門医。指導医を名乗れてしまう困った制度なのです
しかし、勉強不足なうえに、医学的に根拠のない説明を堂々とされるのはいかがかと思います
最近の研究でも移植腎廃絶後の腎代替療法は、血液透析も腹膜透析も成績は同じと報告されていますので紹介しておきましょう
腎移植後の移植腎機能廃絶例における腹膜透析の有効性と安全性 2026 Renal Failure
スペインのアンダルシア州で行われた45年間にわたる1万1,718例を対象
生存率の同等性: 移植腎機能が廃絶した後に透析を再開する患者において、腹膜透析(PD)を選択した場合でも血液透析(HD)と同等の患者生存率が示されました
安全性と技術生存率: 移植歴のない通常の腹膜透析患者と比較しても、移植腎廃絶後にPDを選んだ患者の技術生存率(PDを継続できる期間)や腹膜炎の発症率に有意な差はみられませんでした
Renal replacement therapy after kidney graft loss: redefining the role of peritoneal dialysis
Ren Fail 2026 Dec;48(1):2641975.
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/0886022X.2026.2641975
経験がなければ経験豊富な医師を紹介するべきなのですが、基幹病院の医師としてのプライドが邪魔をするのでしょう、ひどい場合は病院経営のために血液透析へ誘導しているとしか考えられないケースもあります
患者はもっと賢くなって、大切な決定を行うときは、担当医を盲信せず必ずセカンドオピニオンを求めるようにしましょう
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