「高額介護サービス費」制度について
介護保険サービスの自己負担額は所得に応じて1〜3割 例えば、要介護5で2割負担だと、37万円の2割負担で7万2,000円/月とかなり高額になります 施設入所の場合、さらに12-16万円/月程度の入所費用がかかると費用負担はさらに高額になってしまいます 最近、比較的年金収入がある方(下記の区分で④に相当)で、施設入所時に費用負担がハードルになったケースがありましたので「高額介護サービス費」制度についてまとめておきます 医療保険における高額療養費制度の介護保険版が「高額介護サービス費」になります 負担上限は収入によって6段階あります ①生活保護を受給している方等 負担上限1万5,000円 ②全員が市区町村民税非課税の世帯かつ前年の公的年金等収入金額+その他の合計所得金額の合計が80万円以下の方等 1万5,000円(個人) 2万4,600円(世帯) ③全員が市区町村民税非課税の世帯(①②に該当しない方) 2万4,600円(世帯) ④市区町村民課税~課税所得380万円(年収約770万円)未満 4万4,400円(世帯) ⑤課税所得380万円(年収約770万円)~課税所得690万円(年収約1,160万円)未満 9万3,000円(世帯) ⑥課税所得690万円(年収約1,160万円)以上 14万100円(世帯) 患者さんは在宅で腹膜透析おこなっていましたが脳幹梗塞発症、急性期病院で気管切開・腸瘻PTEG造設 本人のACP/DNARオーダーあったにも関わらず家族希望で延命処置フルコース 回復期リハ期限切れで退院勧奨、ADL全介助状態で紹介、施設入所をセットアップ 年金収入多いとはいえ施設入所になると配偶者の生活費が消えてしまう状況 要介護5の37万円の2割負担で7万2,000円/月→「高額介護サービス費」自己負担4万4,400円 施設費勉強してもらって10万円/月 合わせて14万4000円/月の費用負担で入所 腹膜透析や吸痰、経管栄養は有料老人ホーム看護師が施行 私が訪問診療で医学的管理(腹膜透析・気切・腸瘻PTEG) サービス利用料の自己負担額が上限額を上回った場合、自治体から支給申請書が自動的に送られてきます 高額介護サービス費の支給対象となるのは、「居宅サービス」「介護施設サービス」「地域密着型サービス」 施設サービスの食費、居住費、日常生活費などは、もともと介護保険対象外の費用なので、高額介護サービス費の対象からは外れます https://kaigo.homes.co.jp/manual/insurance/payment/kougakukaigo/ ちなみに、入院中の費用負担は3万円/月(身体障害者1級かつ経管栄養なので光熱費とおむつ代+αのみ)だったそうです これでは、日本中で社会的入院が増えるわけです 社会コストで考えると施設入所のほうが圧倒的に低廉なのですから、入院→施設としたときの患者・施設への経済的インセンティブが必要ですフルアシスト腹膜透析患者の施設入所の場合、介護保険上限は優に超えてしまいますが、オーナーと直接交渉して介護保険上限内のケアプランで受けてもらっています(越えた分の患者請求はしない)
施設経営者視点で考えると、施設常駐看護師がケアすればとくに人件費持ち出しはないのと、介護度が高ければ介護保険上限のケアプランで経営的には成立します
血液透析の場合、血液透析日は病院受診なのでデイサービスが組めないのにたいし、腹膜透析は毎日介入可能ですし、社会的入院も終末期まで回避できるので施設ベッドを埋める意味でも施設側のメリットも大きいのです
私の知っている施設は、グループ全体で20名ほどの血液透析患者が入所しており、患者の安寧やコロナ対策、送迎その他のことを考えると、全員腹膜透析にしたいのだそうです
しかしながら、いったん患者が腹膜透析を希望しても、病院側の患者抱え込み(説得)があり実現は容易ではないようです
いま知恵をしぼって作戦を立てているところです
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