2024年12月23日月曜日

在宅透析の心循環への好ましい影響について 【Cardiovascular Effects of Home Dialysis Therapies: A Scientific Statement From the American Heart Association】

 AHAから在宅透析の心循環への好ましい影響についてscientific statementが出されました

内容に目新しい事はありませんが、フリーで循環器内科向けに在宅透析について分かりやすく概説されているのでお時間あるときに一読をおすすめいたします 【Cardiovascular Effects of Home Dialysis Therapies: A Scientific Statement From the American Heart Association】 Circulation. 2022 Aug 15: doi: 10.1161/CIR.0000000000001088. Online ahead of print. PMID: 35968722 Review. https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/CIR.0000000000001088?utm_campaign=sciencenews22-23&utm_source=science-news&utm_medium=phd-link&utm_content=phd-08-18-22#d59776954e1 2022年現在、アメリカでは透析患者の13.1%が在宅透析を行っており、1.9%が在宅血液透析、11.2%が腹膜透析を行っています。 2019年トランプ大統領によって発出された、センター透析を縮小させ、在宅透析のメリットを拡大推進させる大統領令AAKHI(Advancing American Kidney Health Initiative) を受けて、アメリカの透析医療は大きな変化の中にあります。 Circulationでは、循環器内科医にこのトレンドをキャッチアップさせる目的で、今回のAHA scientific statement【Cardiovascular Effects of Home Dialysis Therapies: A Scientific Statement From the American Heart Association】を出しているようです。 ですから、内容に目新しいことはなく、循環器内科医に在宅透析の啓蒙をおこなう目的がメインのようです。 日本でいうと、小倉記念病院や千葉西病院のように循環器患者の多いところは自然とESRD患者も集まるわけで、CKD患者を併診する機会の多い循環器科の医師も在宅透析のメリットを知っている必要があるということです。 その中でも腹膜透析に関して強調されていることは 腹水患者、LVADs(左室補助人工心臓)、肺高血圧症、大動脈狭窄、ペースメーカーなど血管内人工物のある患者にとって腹膜透析はメリットが大きいこと。 Conclusionで述べられているポイントは 循環器科視点から見ても週3回のセンター透析より在宅透析のほうがメリットが大きいことは明らか、ただし、良質な比較研究はない 質の高い在宅血液透析と腹膜透析はすべての腎不全患者がよりアクセスしやすくするべき(Health Equity and Access to Home Therapies 松本注:低所得者や非白人が在宅透析アクセスから疎外され、営利目的のセンター透析に誘導されていることが社会問題化しています) 腹膜透析は、急性期病院、リハビリセンター、老人ホーム、skilled nursing facilities(日本での特養に相当)でも対応可能にするべき(松本注:アシステッドPDの普及推進のことですね) 腎臓内科医や非腎臓内科医はセンター血液透析一択にならぬよう、在宅透析についてのきちんとしたトレーニングを受け、循環器疾患患者においてメリットの大きい適切なSDMに基づいた在宅透析が提供できるようになるべきである(松本注:これがこのAHA Statementで言いたいことですね)

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