2024年12月23日月曜日

通院困難患者アシステッドPD普及を阻害する別の側面

 通院困難患者アシステッドPD普及を阻害する別の側面

地域の受け皿づくりの不足が従来指摘されてきた要因であるが 次のような側面もあるようだ ① 腹膜透析導入・基幹病院が患者を手放さない 要因 導入患者数が少ないので維持数確保のため→導入病院外来で維持しようとする意識が働くと通院困難アシステッドPDを積極的に導入しなくなり、結果、HDに誘導してしまっている 収益確保のため→科別・部門別売上や収益が重視されているため 在支診に紹介されたときはすでに終末期状態のときもある 逆に導入数の多い病院では紹介しやすい傾向があるようだ 解決策 導入病院の導入数の確保 導入数が増えると外来通院患者も増える→通院困難アシストPDは在支診へ紹介する流れに そのためには、通院困難アシステッドPD患者の導入後出口戦略(2週間以内のスムーズな在宅退院の協働)や退院後手技指導(訪問看護の活用)、導入前からのアシスト方針策定(訪問看護・施設選定・介護保険の要否)が大切 ② PDの良い適応である血液透析困難患者・通院困難患者・家族が腹膜透析への療法変更を勧めても受け入れない 要因 いまさら手術を受けてまで治療法を変更したくない 透析患者終末期トラジェクトリーをイメージできていない(説明されていない) 社会的入院透析すれば良いと思っている 通院困難アシステッドPDサポート体制が不完全・未確立であり勧める側にも不安があるため説得力にかける 医療者のコミュニケーションスキル(不都合な真実を伝える技術・共感性) 解決策 コミュニケーションスキル 終末期透析医療の現実を伝える(20年以上前の癌告知議論に似ている、すべて正確に伝えるべきのが当然になっている) 終末期透析患者管理・通院困難透析患者へPDを活用している医師・ナースのメンターシップ・在宅腹膜透析を支える会のコンサルテーション活用 ③ 腎代替療法選択外来を担当している医師(腎臓内科が多い)への啓蒙 腎臓内科学会への働きかけ 通院困難患者アシステッドPDや緩和的PDのシンポジウム企画 地域ごとの導入基幹病院を中心とした腹膜透析支援在宅支援診療所の連携提案 通院困難透析患者は多疾患合併管理困難症例が多い 安易な社会的入院に逃げずに、安楽な終末期まで診てゆくためには経験と技量が必要、透析経験のない医師には管理困難 どこと連携するかは慎重に吟味する必要あり、現状のJSPD連携医制度では質担保までは無理(だが啓蒙普及には価値あり) 最近は腹膜透析実務経験のある医師の在支診開業も増えてきているので活用すべき ④ その他 メディケア・メディケイドで行われているように、血液透析施設で年最低1回は患者への療法変更説明を義務付ける(なぜ腎移植や腹膜透析ができないのかの説明、適切な説明をしていない透析施設・医師への診療報酬ペナルティと指導医・専門医資格更新時の再トレーニング義務化) 腎代替療法基幹病院における腎移植や腹膜透析導入患者実数のベンチマークスタディを行い、血液透析に極端に偏っている病院名の公表 初回内シャント手術においてグラフト作成率>5%の病院名を調査公表、手術手技再トレーニングや適切な腎代替療法指導トレーニングの義務付け 社会的入院透析病院の実態を調査報道し透析患者の終末期のあり方を社会全体で再考してもらう(かつて精神科病院の問題が明らかになったように)

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