2024年12月24日火曜日

なぜ、透析患者は「安らかな死」を迎えることができないのか? Why can't dialysis patients die “peacefully”?

 なぜ、透析患者は「安らかな死」を迎えることができないのか?

10年以上におよぶ血液透析、腎移植、再透析の末、透析を止める決断をした夫、その壮絶な最期を看取った経験をもとにノンフィクション作家堀川恵子さんが講談社から新刊を出版されます。 https://amzn.asia/d/9T7g0r4 献本を先程読了いたしました。 取材に基づいた事実の積み重ねによって、極めて正確に問題点をえぐり出してくれています。これまでの透析医療についての出版物とは異なり重厚な考えさせる内容になっています。 腹膜透析という選択肢についても詳細に記載していただきました。鹿児島へも複数回取材にお越しいただき、その内容も詳しく紹介していただいています。 腹膜透析の章では私共もお馴染みの先生方が登場され、裏話や苦労話もあって面白くあっという間に読んでしまいました。 東北医科薬科大学森建文先生 かしま病院 中野広文先生 柴垣医院 柴垣圭吾先生 東京医大 竹口文博先生(監修) さいごに、日本腎臓病学会理事長・東大教授の南学正臣先生が日本の現状を俯瞰された解説を書かれています ぜひ一読をお勧めいたします <目次> 序章 《第一部》 第1章 長期透析患者の苦悩 第2章 腎臓移植という希望 第3章 移植腎の「実力」 第4章 透析の限界 第5章 透析を止めた日 《第二部》 第6章 巨大医療ビジネス市場の現在地 第7章 透析患者と緩和ケア 第8章 腹膜透析という選択肢 第9章 納得して看取る 献体――あとがき 解説 南学正臣(日本腎臓学会理事長)


2024年12月23日月曜日

AQP1 Promoter Variantと除水不良 AQP1 Promoter Variant, Water Transport, and Outcomes in Peritoneal Dialysis

 AQP1 Promoter Variant, Water Transport, and Outcomes in Peritoneal Dialysis

October 21, 2021 N Engl J Med 2021; 385:1570-1580 DOI: 10.1056/NEJMoa2034279 https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2034279 AQP1 promotor 遺伝子解析で除水不全が予測可能になると同時に有力な治療ターゲットになりうるということです 将来は水分制限のない腹膜透析治療が可能になるかもしれません また、ハバードWASPの医療政策雑誌であるNEJMで腹膜透析の話題がフリープレビューという点も興味深いです

病院クリニック(更生医療施設)と在支診(非更生医療施設)の腹膜透析診療報酬の連携パターン

 病院クリニック(更生医療施設)と在支診(非更生医療施設)の腹膜透析診療報酬の連携パターン例

①毎月更生医療病院クリニック受診(更生医療 PD管理料 透析液・更生医療内服1ヶ月処方) 、在支診(医療保険 在総管 内服1ヶ月処方) ②2ヶ月に1回 更生医療病院クリニック受診(更生医療 PD管理料 透析液2ヶ月処方 更生医療内服2ヶ月処方) 、間の月は在支診(医療保険 在総管+PD管理料 内服1ヶ月処方) ③3ヶ月に1回 更生医療病院クリニック受診(更生医療PD管理料 透析液3ヶ月処方 内服1ヶ月処方) 、間の2ヶ月は在支診(医療保険 在総管+PD管理料 内服1ヶ月処方) 在支診受診時の窓口支払は通常の医療保険扱い 窓口支払は発生するが身体障害者1級であれば医療費は全額払い戻しあり(3級の場合は要調整) 透析液は更生医療機関より処方することで窓口支払軽減 腹膜透析管理は共診体制、受診のない月であってもMCSで情報共有継続

2021 ESRD Treatment Choices (ETC) Model

 2021/10/29 CMS(Centers for Medicare & Medicaid Services)からESRD Treatment Choices (ETC) Modelの最終発表がありました

在宅透析と生体腎移植への診療報酬インセンティブが強化されています 施設だけでなく担当医へのペナルティや再教育プログラムまである目を疑うような内容で、在宅透析への本気度が伺えます 日本でもこのような政策誘導が必要だと感じます CMS final rule updates payment rates for dialysis providers https://www.healio.com/news/nephrology/20211101/cms-final-rule-covering-dialysis-payments-includes-incentives-to-improve-equity-of-care?utm_source=selligent&utm_medium=email&utm_campaign=news&M_BT=4490553463039

CMSのETCモデルのページ https://innovation.cms.gov/innovation-models/esrd-treatment-choices-model MedCityNews 2021/11/1 類似記事 New CMS incentives look to close equity gap in home dialysis, kidney transplants The agency issued a final rule on Friday that would update payment rates for dialysis. It includes a payment model that would incentivize healthcare providers to decrease disparities for in-home dialysis rates and transplant rates among low-income patients. https://medcitynews.com/2021/11/new-cms-incentives-look-to-close-equity-gap-in-home-dialysis-kidney-transplants/

この政策のお手本はカナダ Ontario Renal Network(ORN)です Growing home dialysis: The Ontario Renal Network Home Dialysis Initiative 2012–2019 https://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/08968608211012805?journalCode=ptda

2021 NEJM Review article PD 腹膜透析普及の障害となっているのは医療者の経験・知識不足

 2021 NEJM Review article PD

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMra2100152 腹膜透析を推進してゆく上で障害となっているのが医療者の経験・知識不足であり、Review articleに取り上げた理由はそういった医療者に勉強してもらうためです、という冒頭の一文、日本と状況同じだと思いました(ただそういう方々はこれ読んで勉強しないでしょうけどね) Many clinicians lack knowledge of and experience in using peritoneal dialysis and may not feel comfortable managing the care of patients who are using that type of dialysis. This review aims to address the knowledge gap.

透析導入前のアクセス手術と身体障害者・更生医療申請

 【透析導入前】マル長は使えませんので、シャント手術やテンコフカテーテル留置には更生医療を利用します

更生医療申請には身体障害者申請も同時に行います 重度身体障害者(身障1級)が認定されるようでしたら、医療費は全額払い戻しされることが多いです(地域によって違いあり) 3級であっても更生医療負担金上限までの費用負担になります

重度障害者等包括支援

 【重度障害者等包括支援】

常に介護が必要な障がい等をお持ちの方で、意思疎通を図ることが著しく支障がある方のうち 四肢麻痺および寝たきりの状態にある方で、知的障害または精神障害により行動上著しい困難を有する方に対して、 居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、生活介護、短期入所、共同生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援を包括的に提供する障害福祉サービスです 具体的には、障害支援区分が区分6(児童にあっては区分6に相当する支援の度合)に該当し、意思疎通に著しい困難を有し、次のいずれかに該当する方です。 類型及び状態像 重度訪問介護の対象であって、四肢すべてに麻痺等があり、寝たきり状態にある障害者のうち、次のいずれかに該当する方 ・人工呼吸器による呼吸管理を行っている身体障害者(I類型) →筋ジストロフィー、脊椎損傷、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、遷延性意識障害等 ・最重度知的障害者(II類型) →重症心身障害者等 障害支援区分の認定調査項目のうち行動関連項目等(12項目)の合計点数が10点以上である方(III類型)―強度行動障害等 ◆Ⅰ類型 障害支援区分6の「重度訪問介護」対象者で 医師意見書の「2.身体の状態に関する意見」中の「(3)麻痺」における「左上肢 右上肢 左下肢 右下肢」において、いずれも「ある」に認定(軽、中、重のいずれかにチェックされていること) 認定調査項目「1群 起居動作 寝返り」において「全面的な支援が必要」と認定 認定調査項目「10 群 特別な医療 レスピレーター」において「ある」と認定 認定調査項目「6 群 認知機能 コミュニケーション」において「日常生活に支障がない」以外に認定 ◆Ⅱ類型 概況調査において知的障害の程度が「最重度」と確認 障害支援区分6の「重度訪問介護」対象者であって 医師意見書の「2.身体の状態に関する意見」中の「(3)麻痺」における「左上肢 右上肢 左下肢 右下肢」において、いずれも「ある」に認定(軽、中、重のいずれかにチェックされていること) 認定調査項目「1群 起居動作 寝返り」において「全面的な支援が必要」と認定 認定調査項目「6 群 認知機能 コミュニケーション」において「日常生活に支障がない」以外に認定 ◆Ⅲ類型 障害支援区分6の「行動援護」対象者で 認定調査項目「6 群 認知機能 コミュニケーション」において「日常生活に支障がない」以外に認定 「行動援護項目得点」が「10 点以上」と認定 重度障害者等包括支援について https://meldia.org/challenged/780/#:~:text=%E5%B8%B8%E3%81%AB%E4%BB%8B%E8%AD%B7%E3%81%8C%E5%BF%85%E8%A6%81%E3%81%AA%E9%9A%9C%E3%81%8C%E3%81%84%E7%AD%89%E3%82%92%E3%81%8A%E6%8C%81%E3%81%A1,%E3%82%92%E5%8C%85%E6%8B%AC%E7%9A%84%E3%81%AB%E6%8F%90%E4%BE%9B 障害支援区分 厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/kubun/index.html

介護保険サービスと障害福祉サービスの併用について

 【介護保険サービスと障害福祉サービスの併用について】

障害福祉サービスにおける「重度訪問介護(ホームヘルパーによる入浴、排せつ、食事、着替えの介助など)」について、 障害者区分4以上なら65歳未満で利用できるとなっています。 ・厚生労働省が定める重度訪問介護の対象者は、(令和元年頃から)以下のとおりとなっています。 ①『障害支援区分4以上』(区分1~6:区分6の方が必要とされる支援の度合いが高い)の四肢不自由者または知的障害者・精神障害者 ②『二肢以上に麻痺等がある』 ③『障害程度区分の認定調査項目のうち「歩行」「移乗」「排尿」「排便」のいずれも「できる」以外と認定』されている 通常、重度訪問介護は障害福祉サービスに該当するため、介護保険の適用はできません。 前々から重度訪問介護をサービス受けていた人が65歳の誕生日を迎えた場合、これまでと同等のレベルの介護サービスが可能であれば、障害福祉サービスから介護保険サービスへと切り替わるのが一般的です。 しかし、 介護保険のサービスでは補えないような支援や介護が必要な場合は、障害福祉サービスと介護保険の併用が認められる場合があります。また、65歳を過ぎた高齢者が、④『重度の要介護状態』になった場合は、病気の種類、状態、要介護度などによって、重度訪問介護の適用が認められる場合もあります。 障害福祉サービス適用の可否や、両サービスの併用については、担当するケアマネジャーが作成するケアプランに基づき、住まいのある市町村が判定をします。ただし高齢による介護の必要と、病気による介護の必要との線引きが難しいこと、また担当するケアマネジャーの障害福祉への理解・知識も判定に左右してくるため、よほど深刻な介護を要する状態状況でないかぎり、認定に個人差が生じてきます。

介護保険と医療保険の併用が認められる特例

介護保険と医療保険の併用が認められる特例

厚生労働大臣が定める疾病(別表7)の場合 ①要介護(予防)認定者への訪問看護でも、医療保険での訪問看護となる ②週に4日以上の医療保険の訪問看護が適用になる ③最多で3ヶ所の訪問看護ステーションが訪問看護を行える ④1日に複数回の訪問を行うことができる ※ 主治医が複数回の訪問を必要と認め指示している ※ 1日2回もしくは3回以上の場合、難病等複数回訪問加算を算定できる ⑤複数名で訪問看護を提供した場合、複数名訪問看護加算を算定できる ⑥医療機関からの外泊時の訪問看護基本療養費の算定が可能 ⑦退院日に訪問看護に入ることができる(退院支援指導加算算定) 別表第7:厚生労働大臣が定める疾病等 末期の悪性腫瘍 多発性硬化症 重症筋無力症 スモン 筋萎縮性側索硬化症 脊髄小脳変性症 ハンチントン病 進行性筋ジストロフィー症 パーキンソン病関連疾患 多系統萎縮症 プリオン病 亜急性硬化性全脳炎 ライソゾーム病 副腎白質ジストロフィー 脊髄性筋萎縮症 球脊髄性筋萎縮症 慢性炎症性脱髄性多発神経炎 後天性免疫不全症候群 頸髄損傷 人工呼吸器を使用している状態

看多機からの訪問看護

 看多機からの訪問看護は特別指示利用可能なら特指優先させて看多機包括から減算したほうが看多機側のメリットあるようですね

------------------------------------------------------------------------------- 看多機利用中の訪問看護特別指示利用について 看多機の運営に関するQ&A 集(2021年3 月31日 厚生労働省) [月の途中で医療保険の訪問看護の指示を受けた場合について ] 質問178 複合型サービスの利用者が月の途中で医療保険の訪問看護の指示を受けた場合、訪問看護の 指示の期間に応じて当該月の複合型サービス費より減算すると考えてよいか。 回答 訪問看護の指示の期間に応じて減算する。 [特別指示により医療保険の訪問看護になった場合の減算単位数について ] 質問179 要介護3の複合型サービスの利用者が、特別指示により医療保険による訪問看護の対象者となった場合、減算する単位数はどのように計算するのか。 回答 当該サービス提供月における特別指示の期間が 14 日間の場合、 30 単位× 14 日= 420 単位を複合型サービス費より減算する。

シリコーンカテーテルとヨードについて テンコフカテーテル出口部のイソジン消毒に関する考察 Silicone Catheters and Iodine. Considerations for Iodine Disinfection of Tenchoff Catheter Exit Site.

私どもは、下記のような感染リスクの高い患者には、イソジンゲルを出口部処置にルーチンで使用 しております 低栄養・ 緊急導入・ 高度尿毒症・ 糖尿病・ ステロイド・ 超高齢など しかしながら、テンコフカテーテル添付文書に、下記のように書かれており、イソジンの使用は大丈夫なのかと、よ...