Availability of assisted peritoneal dialysis in Europe: call for increased and equal access.
Nephrol Dial Transplant. 2022 Jun 7 検討対象であったヨーロッパ13カ国中、5カ国でのみアシステッドPDが公的補助対象 フレイル患者にアシステッドPDを拡充する上で公的補助制度の確立や医療介護者の教育がますます必要という内容 https://academic.oup.com/ndt/advance-article-pdf/doi/10.1093/ndt/gfac193/43972690/gfac193.pdf2024年12月23日月曜日
欧州におけるアシステッドPD Availability of assisted peritoneal dialysis in Europe: call for increased and equal access. Nephrol Dial Transplant. 2022 Jun 7
在支診における腹膜透析連携について
在支診の現状(多患者低密度診療)では通院困難透析患者の透析管理は荷が重すぎるようです(そもそも多疾患併存の難しい症例が多い)
透析医療に造詣が深い一部の在支診医師以外は併診が必須です その併診方法にはさまざまあると思いますが、いろいろ試行錯誤した結果、鹿児島での私どものスタイルです ------------------------------------------------------------------------------- 【情報共有方法】通常時 MedicalCareStationを活用、サマリーや退院時指示、外来記録も詳細に記載 訪問看護訪問時リアルタイムに報告・速やかなレスポンス 緊急時のみ携帯電話・ラインなどで連絡 【手術】アクセス関連手術は自院・導入病院へ出張手術も行う 【導入】自院入院・外来導入・他院(DPC・地域包括)導入いずれもあり 【訪問看護】連携訪問看護ステーション50ヶ所以上あり 連携のための勉強会はまめに年間20-30回行っている(ボランティア) 【レスパイト】地域包括病棟・ショートステイなどが利用可 【処方】更生医療指定医療機関から(内服・透析液) 【外来】在支診外来(非常勤) 内服・透析処方 【訪問診療】在支診契約 定期訪問(非常勤) 【往診・対診】特養・病院(小児医療センター・慢性期・精神科)・臨時往診など 【管理料】原則、透析液処方更生医療指定機関が算定(3ヶ月に1回 更生医療指定医療機関、間の2ヶ月は在支診というケースも有り) 【緊急時対応】透析関連→自前で対応 全身状態の安定している腹膜炎などは訪問看護で対応 非透析関連→在支診の基幹病院連携ネットワーク 在支診常勤医のバックアップ、情報共有方法 → MCSサマリー 訪問看護 在支診からの診療情報提供 【遠隔モニタリング】かぐや50台以上が稼働中 処方調整・OJT教育・情報共有に活用 【看取り】原則在宅・施設看取り アフターコロナ、腹膜透析患者の看取りは、全例、在宅・施設看取り 【医療者のワークスタイル】 ITによりマルチワークスタイルが可能に 医療者の意識変化(医局中心終身雇用→職能型雇用・地域貢献) 兼業(特にナース)への常勤雇用主の考え方の変化が必要 医療人材の地域における有効活用(病院で囲い込みすることの弊害) 【その他】 検査 院内および外注で24時間対応可能 訪問看護(受診前事前採血・機器・透析液の対応まで) 鹿児島腹膜透析ネットワーク→基幹病院医師・看護師は顔なじみ通院困難患者アシステッドPD普及を阻害する別の側面
通院困難患者アシステッドPD普及を阻害する別の側面
地域の受け皿づくりの不足が従来指摘されてきた要因であるが 次のような側面もあるようだ ① 腹膜透析導入・基幹病院が患者を手放さない 要因 導入患者数が少ないので維持数確保のため→導入病院外来で維持しようとする意識が働くと通院困難アシステッドPDを積極的に導入しなくなり、結果、HDに誘導してしまっている 収益確保のため→科別・部門別売上や収益が重視されているため 在支診に紹介されたときはすでに終末期状態のときもある 逆に導入数の多い病院では紹介しやすい傾向があるようだ 解決策 導入病院の導入数の確保 導入数が増えると外来通院患者も増える→通院困難アシストPDは在支診へ紹介する流れに そのためには、通院困難アシステッドPD患者の導入後出口戦略(2週間以内のスムーズな在宅退院の協働)や退院後手技指導(訪問看護の活用)、導入前からのアシスト方針策定(訪問看護・施設選定・介護保険の要否)が大切 ② PDの良い適応である血液透析困難患者・通院困難患者・家族が腹膜透析への療法変更を勧めても受け入れない 要因 いまさら手術を受けてまで治療法を変更したくない 透析患者終末期トラジェクトリーをイメージできていない(説明されていない) 社会的入院透析すれば良いと思っている 通院困難アシステッドPDサポート体制が不完全・未確立であり勧める側にも不安があるため説得力にかける 医療者のコミュニケーションスキル(不都合な真実を伝える技術・共感性) 解決策 コミュニケーションスキル 終末期透析医療の現実を伝える(20年以上前の癌告知議論に似ている、すべて正確に伝えるべきのが当然になっている) 終末期透析患者管理・通院困難透析患者へPDを活用している医師・ナースのメンターシップ・在宅腹膜透析を支える会のコンサルテーション活用 ③ 腎代替療法選択外来を担当している医師(腎臓内科が多い)への啓蒙 腎臓内科学会への働きかけ 通院困難患者アシステッドPDや緩和的PDのシンポジウム企画 地域ごとの導入基幹病院を中心とした腹膜透析支援在宅支援診療所の連携提案 通院困難透析患者は多疾患合併管理困難症例が多い 安易な社会的入院に逃げずに、安楽な終末期まで診てゆくためには経験と技量が必要、透析経験のない医師には管理困難 どこと連携するかは慎重に吟味する必要あり、現状のJSPD連携医制度では質担保までは無理(だが啓蒙普及には価値あり) 最近は腹膜透析実務経験のある医師の在支診開業も増えてきているので活用すべき ④ その他 メディケア・メディケイドで行われているように、血液透析施設で年最低1回は患者への療法変更説明を義務付ける(なぜ腎移植や腹膜透析ができないのかの説明、適切な説明をしていない透析施設・医師への診療報酬ペナルティと指導医・専門医資格更新時の再トレーニング義務化) 腎代替療法基幹病院における腎移植や腹膜透析導入患者実数のベンチマークスタディを行い、血液透析に極端に偏っている病院名の公表 初回内シャント手術においてグラフト作成率>5%の病院名を調査公表、手術手技再トレーニングや適切な腎代替療法指導トレーニングの義務付け 社会的入院透析病院の実態を調査報道し透析患者の終末期のあり方を社会全体で再考してもらう(かつて精神科病院の問題が明らかになったように)NxStageに替わる在宅血液透析ゲームチェンジャーになる可能性のあるQuanta SC+
イギリスの在宅血液透析ベンチャーQuanta SC+
NxStageに替わる在宅血液透析ゲームチェンジャーになる可能性のあるQuanta SC+ 2019年のADCに出展していて話題になっていました https://homedialysis.org/news-and-research/blog/303-quanta-sc-hd-machine-on-the-horizon-a-2019-update 2022年7月12日イギリスガーディアン紙に革新的な工業製品に贈られるMacRobert award受賞の記事が出ていたのでまとめておきます https://macrobertaward.raeng.org.uk/ Quantaは2008年にUKにて創業した医療ベンチャーです ジュース販売機のような在宅血液透析機器開発を目標にSC+を上市、2022年7月現在、イギリスでは50名の患者が使用しているそうです https://www.theguardian.com/technology/2022/jul/12/dialysis-machine-inspired-by-juice-dispenser-wins-uk-engineering-prize?utm_term=Autofeed&CMP=twt_gu&utm_medium&utm_source=Twitter#Echobox=1657661683 腹膜透析APDと同じようなtwin head pumpシステムのカートリッジをセットすることで透析回路をシンプルにしています 透析液バッグで行うNxStageと異なり、透析液供給システムが備わっていますので透析量をより増やすことができます https://www.quantadt.com/ 2008年 イングランドWarwickshireにて創業 2019年からNxStage Medicalの科学顧問だったManitoba大学教授Dr Paul KomendaがChief Medical Officerに就任 2021年 アメリカFDA認可 https://www.quantadt.com/news/news/quanta-receives-fda-510-k-clearance-for-the-sc-hemodialysis-system-setting-the-stage-for-us-market-launch/ ベンチャーキャピタルから2億4500万ドルの資金調達に成功しています いまのところ日本での提携先はないようですが、選択肢が増えることは大歓迎ですねSGLT2阻害剤の腹膜透析に関するレビュー
ブリティッシュコロンビア大学腎臓内科Megan Borkumらは2022年5月PDIにSGLT2阻害剤の腹膜透析に関するレビュー
The rationale for the need to study sodium-glucose co-transport 2 inhibitor usage in peritoneal dialysis patients. Borkum M, Jamal A, Suneet Singh R, Levin A. Perit Dial Int. 2022 May 2:8968608221096556. doi: 10.1177/08968608221096556. Online ahead of print. SGLT2阻害剤と腹膜透析についてよくまとまっています フリーなのでぜひ一読をおすすめいたします https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/08968608221096556 SGLT2阻害剤はCKD進展予防に効果的なことはエビデンスが確立しており、機序を考えるとESRDの残腎機能保持にも効果があるのは当然と思います 残腎機能保持の重要さについては、皆さんご存知の CANUSA studyで 24時間尿量が250 ml増加すると相対死亡リスクが36%減少することが示されております 残腎機能保持のためにできることとして 腹膜炎の予防、腎毒性薬剤回避、生体適合性PD液、RAAS阻害剤など、現在の戦略は限られており SGLT2阻害剤(やMR拮抗薬)が加わることは価値があります 本レビューでは、SGLT2阻害剤は、残腎機能保持の他に、アルブミン尿の減少、心保護作用、腹膜保護作用などの効果も期待でき、PDを含むESRD患者を対象にした臨床試験を行うことが望ましいと述べていますUrgent Strat PD
私は、2014年よりUrgent Strat PD(カテーテル留置から24時間以内の貯留開始)を採用してきました
文献をまとめておきます
2017年からUrgent Strat PD を取り入れているブラジルからの興味深い報告
Urgent Strat PDによる導入を開始してから、なんと、3年間でPD患者数が256%と驚異的に増加したそうです Urgent-start dialysis: Comparison of complications and outcomes between peritoneal dialysis and haemodialysis. Dias DB, Mendes ML, Caramori JT, Falbo Dos Reis P, Ponce D. Perit Dial Int. 2021 Mar;41(2):244-252. doi: 10.1177/0896860820915021. Epub 2020 Mar 30. https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/0896860820915021 PD患者増加には、やはり、Urgent start PDによるスムーズな導入が鍵になっているようです Urgent-Start Peritoneal Dialysis: The First Year of Brazilian Experience. Bitencourt Dias D, Mendes ML, Burgugi Banin V, Barretti P, Ponce D. Blood Purif. 2017;44(4):283-287. カテーテル挿入はタイのベッドサイド挿入と同じ方法 http://www.jmatonline.com/files/journals/1/articles/1495/public/1495-4560-1-PB.pdf 腎臓内科医による挿入 局麻下経皮セルジンガー法 正中もしくは傍腹直筋アプローチ コイル型カテーテル 深部カフのタバコ縫合なし、腹直筋前鞘前面に留置 彼らは72時間以内にHigh volume PD (30ml/kg)の透析液貯留を行うそうです カテーテルトラブルは多い印象 外科的修復を要したカテーテル位置異常 8/51例 15.6% リーク 4/51例 7.8% 興味深いのは、退院後は手技取得まで透析センターで隔日8-10hのAPDトレーニングを行うそうです(夜間?) 日本も夜間は透析室ベッド空いてるので、オーバーナイトPDトレーニングもありですね
2020年にCochrane ReviewでもUrgent Start PDを支持するレビューとなっています https://www.cochranelibrary.com/cdsr/doi/10.1002/14651858.CD012913.pub2/epdf/full タイから緊急導入でも問題なくできるという内容の論文が出ました June 10, 2022 Kidney International Reportsにタイのマハラトナコンラチャシマー病院からの2-4週間の血液透析後にPD導入した群とUrgent Start PD群を比較した論文 https://www.kireports.org/article/S2468-0249(22)01434-6/fulltext この病院は1680床もあるタイの巨大基幹病院のようです 2018年11月から2020年2月、緊急透析導入の必要な成人207人を対象 2-4週間の血液透析後にPD導入した群とUrgent Start PD群の比較 導入6週目の死亡率に差はなく、複合的合併症は37% vs 19%、透析関連合併症 24% vs 4% とUrgent Start PD群のほうが少なかった 結論として、緊急透析導入もUrgent start PDで問題なくできるということです カテーテル留置は年間30例以上3年以上の手術経験のあるベテラン腎臓内科医によって局麻下セルジンガー法で留置 タイは痩せているひとが多いのでテンコフ留置は容易だろうなと想像 また、腎臓内科医がカテ留置を行うので、外科コンサルが不要で、緊急導入時に即座にカテ留置できる背景もあるようです 貯留量は800-1000mlを仰臥位で開始し、2週間以内に1.5-2.0Lまで貯留量を増加 CAPDは5日/週とされていています、公的病院なので土日は公務員は働かないのかな?
リークはやはりUrgent Startのほうが7/104と多い(HD→PD2/103)ようですがなんとかなったと書いてありますね セルジンガーなのでこのくらいのリークはしょうがないでしょうね 私どもは小開創でduble purse-stringなのでリークはゼロです
高齢腎不全患者に対応する医療・ケア従事者のための意思決定支援ツール
東京大学上廣死生学・応用倫理講座
https://www.l.u-tokyo.ac.jp/dls/ 会田先生の臨床倫理プロジェクトのページから【高齢腎不全患者に対応する医療・ケア従事者のための意思決定支援ツール】がダウンロードできます https://www.l.u-tokyo.ac.jp/dls/cleth/tool.html マンガで分かりやすい内容になっています 第1章 「維持血液透析を『やめたい』と患者さんがいうとき」 第2章 「カンファレンスの方法―保存的腎臓療法の選択を検討する事例を題材に」 第3章 「認知機能が低下した高齢患者のための意思決定支援」 第4章 「多職種連携による共同意思決定(SDM)のあり方 ― 維持血液透析の見合わせ・看取りの症例を題材に」 このような形で高齢腎不全について考えるきっかけになることは良いことですが この元になるAMED研究分担者は、大学所属の先生たちで構成されており、しかも研究方法は施設アンケートが中心であるため、リアルな臨床現場の状況反映がまだまだ不十分であると感じました 経験の浅い中途半端な知識を持つ医療スタッフにありがちなことですが このようなツールが不適切に使用され、適切な治療提案が行われず、非導入・緩和ケア、偽装された安楽死への誘導にならぬよう注意しなければなりません AMED研究開発課題「高齢腎不全患者に対する腎代替療法の開始/見合わせの意思決定プロセスと最適な緩和医療・ケアの構築」(研究代表者:川崎医科大学副学長 腎臓・高血圧内科学教授 柏原直樹氏) 会田薫子先生分担班の研究開発課題「高齢腎不全患者(人生の最終段階を含む)に対する共同意思決定による最適な腎代替療法選択、非導入の意思決定プロセスの構築」スムーズな腹膜透析導入のための6つのキートピック
スムーズな導入のための6つのキートピック
①療法選択とはどうあるべきか IC→SDM→CDM→Nudge リバタリアン・パターナリズム ②不都合な真実も正確に伝えよう 真に必要な腎代替療法の知識 不都合な真実をどう伝えるべきか 共感性を高めるためのナラティブアプローチ ③お金と介護の不安を解消しよう お金がないと言われたら? 家族に協力できないと言われたら? 医療介護保険制度に詳しくなろう ④トラブルのないカテーテル留置術 導入期のカテーテルトラブルを回避する工夫 Urgent-start PDを積極的に導入しよう ⑤RPM/SNS連携で診療密度を高めよう かぐや/シェアソース・メディカルケアステーション 訪問看護との協働体制セットアップ ⑥業務効率化を徹底的に意識しよう 仕事のエフォートは60%程度が適正 5時に帰宅する仕事術在宅透析の心循環への好ましい影響について 【Cardiovascular Effects of Home Dialysis Therapies: A Scientific Statement From the American Heart Association】
AHAから在宅透析の心循環への好ましい影響についてscientific statementが出されました
内容に目新しい事はありませんが、フリーで循環器内科向けに在宅透析について分かりやすく概説されているのでお時間あるときに一読をおすすめいたします 【Cardiovascular Effects of Home Dialysis Therapies: A Scientific Statement From the American Heart Association】 Circulation. 2022 Aug 15: doi: 10.1161/CIR.0000000000001088. Online ahead of print. PMID: 35968722 Review. https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/CIR.0000000000001088?utm_campaign=sciencenews22-23&utm_source=science-news&utm_medium=phd-link&utm_content=phd-08-18-22#d59776954e1 2022年現在、アメリカでは透析患者の13.1%が在宅透析を行っており、1.9%が在宅血液透析、11.2%が腹膜透析を行っています。 2019年トランプ大統領によって発出された、センター透析を縮小させ、在宅透析のメリットを拡大推進させる大統領令AAKHI(Advancing American Kidney Health Initiative) を受けて、アメリカの透析医療は大きな変化の中にあります。 Circulationでは、循環器内科医にこのトレンドをキャッチアップさせる目的で、今回のAHA scientific statement【Cardiovascular Effects of Home Dialysis Therapies: A Scientific Statement From the American Heart Association】を出しているようです。 ですから、内容に目新しいことはなく、循環器内科医に在宅透析の啓蒙をおこなう目的がメインのようです。 日本でいうと、小倉記念病院や千葉西病院のように循環器患者の多いところは自然とESRD患者も集まるわけで、CKD患者を併診する機会の多い循環器科の医師も在宅透析のメリットを知っている必要があるということです。 その中でも腹膜透析に関して強調されていることは 腹水患者、LVADs(左室補助人工心臓)、肺高血圧症、大動脈狭窄、ペースメーカーなど血管内人工物のある患者にとって腹膜透析はメリットが大きいこと。 Conclusionで述べられているポイントは 循環器科視点から見ても週3回のセンター透析より在宅透析のほうがメリットが大きいことは明らか、ただし、良質な比較研究はない 質の高い在宅血液透析と腹膜透析はすべての腎不全患者がよりアクセスしやすくするべき(Health Equity and Access to Home Therapies 松本注:低所得者や非白人が在宅透析アクセスから疎外され、営利目的のセンター透析に誘導されていることが社会問題化しています) 腹膜透析は、急性期病院、リハビリセンター、老人ホーム、skilled nursing facilities(日本での特養に相当)でも対応可能にするべき(松本注:アシステッドPDの普及推進のことですね) 腎臓内科医や非腎臓内科医はセンター血液透析一択にならぬよう、在宅透析についてのきちんとしたトレーニングを受け、循環器疾患患者においてメリットの大きい適切なSDMに基づいた在宅透析が提供できるようになるべきである(松本注:これがこのAHA Statementで言いたいことですね)米国における営利目的の不適切な内シャント治療と訴訟
2022/7/13 北米フレゼニウスグループが不要な内シャントPTA治療を営利目的で行っているという、衝撃的な腎臓内科医の内部告発から始まった訴訟が、連邦虚偽請求法で連邦政府も原告に加わるということで大騒動になっていることをお伝えいたしました
https://www.justice.gov/usao-edny/pr/united-states-files-claims-alleging-fresenius-vascular-care-inc-defrauded-medicare-and ヘルスケアネットニュースでも取り上げられていました DOJ files False Claims Act case against dialysis giant Fresenius alleging unnecessary vascular procedures https://www.fiercehealthcare.com/providers/doj-joins-whistleblower-suit-accusing-fresenius-medical-care-performing-thousands 北米フレゼニウスメディカルケア(FMCNA)は2500以上の透析ユニットで20万人を超える透析患者を治療しているメガ透析フランチャイジーです フレゼニウス傘下のバスキュラーアクセスセンターAzura Vascular Care(Azura)は全米に60以上のユニットがあります https://www.azuravascularcare.com/ ニューヨークのユニットで2012-2018年に行われた2303件のVA治療のうち1288件(55.92%)が医学的に不必要だったと指摘されています メディケアが今回この訴訟に参加することになった背景には、ニューヨークでシャントPTAに関する大きな診療報酬詐欺事件があったためのようです 2018 年 12 月 中国上海の名門、復旦大学出身でMount Sinai Beth Israel勤務経験もあるニューヨークマンハッタンで開業していた血管外科医Feng Qinが内シャントPTAの費用をメディケアに不正請求した罪で起訴され 2021年3月 なんと80万ドルもの巨額賠償金支払いと4年間の公的保険指定医停止処分を受け入れた事件があったのです https://www.medpagetoday.com/special-reports/exclusives/91586 個人クリニックでこの額ですから、フランチャイジーでは天文学的な賠償金になることが予測されます、当然ながらフレゼニウス以外の透析アクセスセンターもターゲットにするでしょう ちなみに20年前のアメリカUSRDSによると透析関連医療費の25%程度がアクセス関連医療費と言われており Butterly D, Schwab SJ: Reducing the risk of hemodialysis access. Am J Kidney Dis 34: 362-363, 1999 国内では、2001年に大平整爾先生が、当時の血液透析患者数17.5万人にたいする、透析医療費9275億円、アクセス関連医療費877億円(9.5%)、修復要する医療費83億円(0.9%)と推定していました。 透析会誌 34 (2): 107~108, 2001 6. 透析医療経済とブラッドアクセス 第45回日本透析医学会パネルディスカッションより https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsdt1994/34/2/34_2_107/_pdf 当時、シャントPTAは処置料のみの算定でしたが、現在は手技料12000点が請求可能となっており、PCB( 138,000円)やDCB(IN.PACT170,000円)、ステントグラフト(VIABAHN340,000円)のような超高価なデバイスも頻用されており、近年、アクセス関連医療費は血液透析関連医療費の25%程度かそれ以上になっている可能性すらあります。 実際、透析施設における収益はアクセス関連によるものが圧倒的に大きく、透析アクセス専業クリニックも数多く開業しています。 透析アクセス治療が地域内でできず、市をまたいで越境で治療を行っている場合、ただでさえ大赤字の市町村国民健康保険や後期高齢者広域連合から資金が域外流出しています。 我が国でも、医学的適応のない内シャント治療が営利目的で不必要に行われていないか、厳格な監視が必要になっています。シリコーンカテーテルとヨードについて テンコフカテーテル出口部のイソジン消毒に関する考察 Silicone Catheters and Iodine. Considerations for Iodine Disinfection of Tenchoff Catheter Exit Site.
私どもは、下記のような感染リスクの高い患者には、イソジンゲルを出口部処置にルーチンで使用 しております 低栄養・ 緊急導入・ 高度尿毒症・ 糖尿病・ ステロイド・ 超高齢など しかしながら、テンコフカテーテル添付文書に、下記のように書かれており、イソジンの使用は大丈夫なのかと、よ...
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腹膜透析と血液透析の治療成績はほぼ同等であると言われているにもかかわらず、腹膜透析が普及していない原因についてはさまざま指摘されていますが、テクニカルにはいずれも克服できるものであると考えられています。 Epidemiology of peritoneal dialysis ...
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2025年1月12日 m3.com医療維新、松永正訓(ただし)先生の連載「けっこう楽しい開業医ライフ」に、【医師こそ読むべき『透析を止めた日』】というタイトルの記事がアップされました。 https://www.m3.com/news/iryoishin/1252044 本質を突...
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当院では、局所麻酔&腹壁ブロック+プレセデックス鎮静による、小開創テンコフカテーテル留置術を採用してきました。手術時間は20-30分程度、特別な機器も必要とせずカテーテルトラブルも少ない安定した術式です。 さらなる術式改良を目指し、低侵襲な術式の改善を模索してきました。 最...