なぜ、透析患者は「安らかな死」を迎えることができないのか?
10年以上におよぶ血液透析、腎移植、再透析の末、透析を止める決断をした夫、その壮絶な最期を看取った経験をもとにノンフィクション作家堀川恵子さんが講談社から新刊を出版されます。 https://amzn.asia/d/9T7g0r4 献本を先程読了いたしました。 取材に基づいた事実の積み重ねによって、極めて正確に問題点をえぐり出してくれています。これまでの透析医療についての出版物とは異なり重厚な考えさせる内容になっています。 腹膜透析という選択肢についても詳細に記載していただきました。鹿児島へも複数回取材にお越しいただき、その内容も詳しく紹介していただいています。 腹膜透析の章では私共もお馴染みの先生方が登場され、裏話や苦労話もあって面白くあっという間に読んでしまいました。 東北医科薬科大学森建文先生 かしま病院 中野広文先生 柴垣医院 柴垣圭吾先生 東京医大 竹口文博先生(監修) さいごに、日本腎臓病学会理事長・東大教授の南学正臣先生が日本の現状を俯瞰された解説を書かれています ぜひ一読をお勧めいたします <目次> 序章 《第一部》 第1章 長期透析患者の苦悩 第2章 腎臓移植という希望 第3章 移植腎の「実力」 第4章 透析の限界 第5章 透析を止めた日 《第二部》 第6章 巨大医療ビジネス市場の現在地 第7章 透析患者と緩和ケア 第8章 腹膜透析という選択肢 第9章 納得して看取る 献体――あとがき 解説 南学正臣(日本腎臓学会理事長)2024年12月24日火曜日
2024年12月23日月曜日
AQP1 Promoter Variantと除水不良 AQP1 Promoter Variant, Water Transport, and Outcomes in Peritoneal Dialysis
AQP1 Promoter Variant, Water Transport, and Outcomes in Peritoneal Dialysis
October 21, 2021 N Engl J Med 2021; 385:1570-1580 DOI: 10.1056/NEJMoa2034279 https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2034279 AQP1 promotor 遺伝子解析で除水不全が予測可能になると同時に有力な治療ターゲットになりうるということです 将来は水分制限のない腹膜透析治療が可能になるかもしれません また、ハバードWASPの医療政策雑誌であるNEJMで腹膜透析の話題がフリープレビューという点も興味深いです病院クリニック(更生医療施設)と在支診(非更生医療施設)の腹膜透析診療報酬の連携パターン
病院クリニック(更生医療施設)と在支診(非更生医療施設)の腹膜透析診療報酬の連携パターン例
①毎月更生医療病院クリニック受診(更生医療 PD管理料 透析液・更生医療内服1ヶ月処方) 、在支診(医療保険 在総管 内服1ヶ月処方) ②2ヶ月に1回 更生医療病院クリニック受診(更生医療 PD管理料 透析液2ヶ月処方 更生医療内服2ヶ月処方) 、間の月は在支診(医療保険 在総管+PD管理料 内服1ヶ月処方) ③3ヶ月に1回 更生医療病院クリニック受診(更生医療PD管理料 透析液3ヶ月処方 内服1ヶ月処方) 、間の2ヶ月は在支診(医療保険 在総管+PD管理料 内服1ヶ月処方) 在支診受診時の窓口支払は通常の医療保険扱い 窓口支払は発生するが身体障害者1級であれば医療費は全額払い戻しあり(3級の場合は要調整) 透析液は更生医療機関より処方することで窓口支払軽減 腹膜透析管理は共診体制、受診のない月であってもMCSで情報共有継続2021 ESRD Treatment Choices (ETC) Model
2021/10/29 CMS(Centers for Medicare & Medicaid Services)からESRD Treatment Choices (ETC) Modelの最終発表がありました
在宅透析と生体腎移植への診療報酬インセンティブが強化されています 施設だけでなく担当医へのペナルティや再教育プログラムまである目を疑うような内容で、在宅透析への本気度が伺えます 日本でもこのような政策誘導が必要だと感じます CMS final rule updates payment rates for dialysis providers https://www.healio.com/news/nephrology/20211101/cms-final-rule-covering-dialysis-payments-includes-incentives-to-improve-equity-of-care?utm_source=selligent&utm_medium=email&utm_campaign=news&M_BT=44905534630392021 NEJM Review article PD 腹膜透析普及の障害となっているのは医療者の経験・知識不足
2021 NEJM Review article PD
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMra2100152 腹膜透析を推進してゆく上で障害となっているのが医療者の経験・知識不足であり、Review articleに取り上げた理由はそういった医療者に勉強してもらうためです、という冒頭の一文、日本と状況同じだと思いました(ただそういう方々はこれ読んで勉強しないでしょうけどね) Many clinicians lack knowledge of and experience in using peritoneal dialysis and may not feel comfortable managing the care of patients who are using that type of dialysis. This review aims to address the knowledge gap.透析導入前のアクセス手術と身体障害者・更生医療申請
【透析導入前】マル長は使えませんので、シャント手術やテンコフカテーテル留置には更生医療を利用します
更生医療申請には身体障害者申請も同時に行います 重度身体障害者(身障1級)が認定されるようでしたら、医療費は全額払い戻しされることが多いです(地域によって違いあり) 3級であっても更生医療負担金上限までの費用負担になります重度障害者等包括支援
【重度障害者等包括支援】
常に介護が必要な障がい等をお持ちの方で、意思疎通を図ることが著しく支障がある方のうち 四肢麻痺および寝たきりの状態にある方で、知的障害または精神障害により行動上著しい困難を有する方に対して、 居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、生活介護、短期入所、共同生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援を包括的に提供する障害福祉サービスです 具体的には、障害支援区分が区分6(児童にあっては区分6に相当する支援の度合)に該当し、意思疎通に著しい困難を有し、次のいずれかに該当する方です。 類型及び状態像 重度訪問介護の対象であって、四肢すべてに麻痺等があり、寝たきり状態にある障害者のうち、次のいずれかに該当する方 ・人工呼吸器による呼吸管理を行っている身体障害者(I類型) →筋ジストロフィー、脊椎損傷、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、遷延性意識障害等 ・最重度知的障害者(II類型) →重症心身障害者等 障害支援区分の認定調査項目のうち行動関連項目等(12項目)の合計点数が10点以上である方(III類型)―強度行動障害等 ◆Ⅰ類型 障害支援区分6の「重度訪問介護」対象者で 医師意見書の「2.身体の状態に関する意見」中の「(3)麻痺」における「左上肢 右上肢 左下肢 右下肢」において、いずれも「ある」に認定(軽、中、重のいずれかにチェックされていること) 認定調査項目「1群 起居動作 寝返り」において「全面的な支援が必要」と認定 認定調査項目「10 群 特別な医療 レスピレーター」において「ある」と認定 認定調査項目「6 群 認知機能 コミュニケーション」において「日常生活に支障がない」以外に認定 ◆Ⅱ類型 概況調査において知的障害の程度が「最重度」と確認 障害支援区分6の「重度訪問介護」対象者であって 医師意見書の「2.身体の状態に関する意見」中の「(3)麻痺」における「左上肢 右上肢 左下肢 右下肢」において、いずれも「ある」に認定(軽、中、重のいずれかにチェックされていること) 認定調査項目「1群 起居動作 寝返り」において「全面的な支援が必要」と認定 認定調査項目「6 群 認知機能 コミュニケーション」において「日常生活に支障がない」以外に認定 ◆Ⅲ類型 障害支援区分6の「行動援護」対象者で 認定調査項目「6 群 認知機能 コミュニケーション」において「日常生活に支障がない」以外に認定 「行動援護項目得点」が「10 点以上」と認定 重度障害者等包括支援について https://meldia.org/challenged/780/#:~:text=%E5%B8%B8%E3%81%AB%E4%BB%8B%E8%AD%B7%E3%81%8C%E5%BF%85%E8%A6%81%E3%81%AA%E9%9A%9C%E3%81%8C%E3%81%84%E7%AD%89%E3%82%92%E3%81%8A%E6%8C%81%E3%81%A1,%E3%82%92%E5%8C%85%E6%8B%AC%E7%9A%84%E3%81%AB%E6%8F%90%E4%BE%9B 障害支援区分 厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/kubun/index.html介護保険サービスと障害福祉サービスの併用について
【介護保険サービスと障害福祉サービスの併用について】
障害福祉サービスにおける「重度訪問介護(ホームヘルパーによる入浴、排せつ、食事、着替えの介助など)」について、 障害者区分4以上なら65歳未満で利用できるとなっています。 ・厚生労働省が定める重度訪問介護の対象者は、(令和元年頃から)以下のとおりとなっています。 ①『障害支援区分4以上』(区分1~6:区分6の方が必要とされる支援の度合いが高い)の四肢不自由者または知的障害者・精神障害者 ②『二肢以上に麻痺等がある』 ③『障害程度区分の認定調査項目のうち「歩行」「移乗」「排尿」「排便」のいずれも「できる」以外と認定』されている 通常、重度訪問介護は障害福祉サービスに該当するため、介護保険の適用はできません。 前々から重度訪問介護をサービス受けていた人が65歳の誕生日を迎えた場合、これまでと同等のレベルの介護サービスが可能であれば、障害福祉サービスから介護保険サービスへと切り替わるのが一般的です。 しかし、 介護保険のサービスでは補えないような支援や介護が必要な場合は、障害福祉サービスと介護保険の併用が認められる場合があります。また、65歳を過ぎた高齢者が、④『重度の要介護状態』になった場合は、病気の種類、状態、要介護度などによって、重度訪問介護の適用が認められる場合もあります。 障害福祉サービス適用の可否や、両サービスの併用については、担当するケアマネジャーが作成するケアプランに基づき、住まいのある市町村が判定をします。ただし高齢による介護の必要と、病気による介護の必要との線引きが難しいこと、また担当するケアマネジャーの障害福祉への理解・知識も判定に左右してくるため、よほど深刻な介護を要する状態状況でないかぎり、認定に個人差が生じてきます。介護保険と医療保険の併用が認められる特例
介護保険と医療保険の併用が認められる特例
厚生労働大臣が定める疾病(別表7)の場合 ①要介護(予防)認定者への訪問看護でも、医療保険での訪問看護となる ②週に4日以上の医療保険の訪問看護が適用になる ③最多で3ヶ所の訪問看護ステーションが訪問看護を行える ④1日に複数回の訪問を行うことができる ※ 主治医が複数回の訪問を必要と認め指示している ※ 1日2回もしくは3回以上の場合、難病等複数回訪問加算を算定できる ⑤複数名で訪問看護を提供した場合、複数名訪問看護加算を算定できる ⑥医療機関からの外泊時の訪問看護基本療養費の算定が可能 ⑦退院日に訪問看護に入ることができる(退院支援指導加算算定) 別表第7:厚生労働大臣が定める疾病等 末期の悪性腫瘍 多発性硬化症 重症筋無力症 スモン 筋萎縮性側索硬化症 脊髄小脳変性症 ハンチントン病 進行性筋ジストロフィー症 パーキンソン病関連疾患 多系統萎縮症 プリオン病 亜急性硬化性全脳炎 ライソゾーム病 副腎白質ジストロフィー 脊髄性筋萎縮症 球脊髄性筋萎縮症 慢性炎症性脱髄性多発神経炎 後天性免疫不全症候群 頸髄損傷 人工呼吸器を使用している状態看多機からの訪問看護
看多機からの訪問看護は特別指示利用可能なら特指優先させて看多機包括から減算したほうが看多機側のメリットあるようですね
------------------------------------------------------------------------------- 看多機利用中の訪問看護特別指示利用について 看多機の運営に関するQ&A 集(2021年3 月31日 厚生労働省) [月の途中で医療保険の訪問看護の指示を受けた場合について ] 質問178 複合型サービスの利用者が月の途中で医療保険の訪問看護の指示を受けた場合、訪問看護の 指示の期間に応じて当該月の複合型サービス費より減算すると考えてよいか。 回答 訪問看護の指示の期間に応じて減算する。 [特別指示により医療保険の訪問看護になった場合の減算単位数について ] 質問179 要介護3の複合型サービスの利用者が、特別指示により医療保険による訪問看護の対象者となった場合、減算する単位数はどのように計算するのか。 回答 当該サービス提供月における特別指示の期間が 14 日間の場合、 30 単位× 14 日= 420 単位を複合型サービス費より減算する。要介護認定の取り消しについて
【要介護認定の取り消しについて】
介護度の低い患者さんで介護保険が足かせになりアシストPDケアプランが策定困難、もしくは導入後ADL改善によって介護保険サービス不要になった場合、介護保険取り消しし医療保険に切り替えたほうが良いケースがあります。 以前、要介護認定の取り消しについては対応が各市町村で迷走していましたが、 平成30年度診療報酬改定時のQ&Aにて認める旨の厚生労働省返答あり各市町村で対応可能となっています。 背景には介護保険財政負担増に伴い、介護度改善(によって介護保険利用が減ること)が評価されるようになったことがあげられます https://gemmed.ghc-j.com/?p=31058 市町村窓口に周知徹底されていないこともあるようですので、下記の根拠を伝えてみると良いかもしれません 平成30年度診療報酬改定時のQ&A(18.9.11 老人保健事業及び介護予防事業等に関する Q&A (追加・修正) vol.2 〔3〕) 要支援・要介護認定を受けている者が、自主的に認定の取下げを届け出た場合は、特定高齢者と見なすことができるが、この取扱いについては、介護保険法第31条及び第34条に規定する要介護認定等の取消として取り扱うものである。 地方自治体のHP案内ピックアップしてみました 鹿児島市 要介護(要支援)認定を受けている人が、医療対応等の理由により認定の取消しを希望する場合に提出していただく申請書です。 http://www.city.kagoshima.lg.jp/kenkofukushi/chouju/kaigohoken/kenko/fukushi/kaigo/download/shinse-10.html 神戸市 要介護(要支援)認定の有効期間中に、状態が改善した等の事情により、介護サービスを利用する予定がなくなるなど認定自体が不要となった場合は、認定の取下げ手続きを行います。https://www.city.kobe.lg.jp/a46210/kenko/fukushi/carenet/nintei_guide/shinseidaikou_c10.html 倉敷市 介護保険のサービス利用の予定がなく、他の制度の利用希望がある場合には、介護保険の認定を取消することができます。 https://www.city.kurashiki.okayama.jp/2205.htm#:~:text=%E8%A6%81%E4%BB%8B%E8%AD%B7%E8%AA%8D%E5%AE%9A%E3%81%AE%E5%8F%96%E6%B6%88,%E3%82%82%E3%80%81%E4%BD%95%E3%82%82%E6%94%AF%E9%9A%9C%E3%81%82%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%9B%E3%82%93%E3%80%82&text=%E4%BB%A3%E8%A1%8C%E3%81%A7%E5%8F%96%E6%B6%88%E3%82%92%E3%81%95%E3%82%8C,%E4%BB%A3%E8%A1%8C%EF%BC%89%E3%81%AE%E5%8D%B0%E3%82%82%E5%BF%85%E8%A6%81%E3%80%82令和4年 第111回 看護師国家試験
令和4年 第111回 看護師国家試験
次の文を読み94~96 の問いに答えよ。 A さん(50歳、男性、会社員)は妻と高校生の息子との3人暮らし。仕事を生きがいに働き続けていた。慢性腎不全のため透析治療が必要になったが、本人の希望で連続携行式腹膜灌流法CAPDを導入することになり入院した。Aさんはこれからの生活がどのようになるのかを看護師に質問した。 94 Aさんに対する説明として正しいのはどれか。 1. 「食事療法が必要です」 2.「通院は週に2、3回必要です」 3. 「宿泊を伴う旅行はできません」 4. 「カテーテル挿入術後の翌日から入浴できます」 答 1 95 Aさんはできるだけ早い職場復帰を望んでおり、入院中は CAPD の操作に熱心 に取り組んでいた。退院後、CAPDを1日4回(0時、6時、12時、18時)行うこ とになった。 Aさんが会社の昼休みに CAPD を行うために必要な設備はどれか。2つ選べ。 1. 透析液を保管する冷蔵庫 2. 透析液を温める電子レンジ 3. 透析液の交換時に使用する個室 4. CAPD の物品を保管する専用棚 5. 透析液の貯留中に使用するベッド 答 3 4 96 Aさんは「主治医から CAPD の合併症に腹膜炎があると聞きました。腹膜炎に早く気付くにはどうすればよいですか」と看護師に質問した。 Aさんに指導する観察項目はどれか。2つ選べ 1.腹痛 2.体重の増加 3.腹部の張り 4.下肢のむくみ 5.透析液の排液のにごり 答 1 5アメリカにおける在宅透析推進とアシステッドPD Home Dialysis Promotion and Assisted PD in the United States
これまでアメリカの公的医療保険(メディケア・メディケイド)でカバーされていなかったアシステッドPDが議員立法によってカバーされるようになるようです
2021年9月 アメリカ下院議員Bobby L. Rush(イリノイ州)とJason Smith(ミズーリ州)超党派議員によるアシステッドPD(在宅透析)立法化 September 29, 2021 Press Release http://rush.house.gov/sites/evo-subsites/rush.house.gov/files/evo-media-document/Rush%20Home%20Dialysis%20Bill.pdf 在宅透析は、腎臓病患者の健康状態を改善し、入院の機会を減らせます。また、センター透析よりもはるかに柔軟性があり、透析患者が雇用を維持しやすくなります。 このように、在宅透析はセンター透析よりも優れた治療法であるにも関わらず、2016年の調査によると、白人アメリカ人と比較して、黒人アメリカ人は在宅血液透析で治療される可能性が60%低く、腹膜透析で治療される可能性は47%低いと判明しています。 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5418094/#:~:text=In%202016%20Mehrotra%20et%20al,likely%20to%20be%20treated%20with また、最新のUSRDSによると、センター透析患者は在宅透析患者と比べ最大4倍もCOVID-19感染リスクが高いことが示されています。 https://www.uptodate.com/contents/covid-19-issues-related-to-end-stage-kidney-disease 貧しい、主に少数派のコミュニティでの血液透析センターの急速な爆発について懸念を表明しています。腎代替療法に人種的格差がある(貧乏人がよりよい医療である在宅透析を受けれていない)という視点も重要であると主張しています。 https://rush.house.gov/media-center/press-releases/congressman-bobby-l-rush-and-congresswoman-katie-porter-call-secretary 2019年「Advancing American Kidney Health Executive Order」では2025年までに新規腎不全患者の85%が在宅透析か腎移植をうけるという目標が設定されており、議員立法に追い風となりました。ISPD peritonitis guideline recommendations: 2022 update on prevention and treatment
ISPD peritonitis guideline recommendations: 2022 update on prevention and treatment
Perit Dial Int. 2022 Mar;42(2):110-153. doi: 10.1177/08968608221080586. 変更点を中心にまとまっています What’s new with the 2022 update of the ISPD peritonitis guidelines?講演:「障害者の生きる権利と家族の生きる権利」藤岡毅弁護士
RDD2022in薩摩(希少難病)Rare Disease Day ~世界希少・難治性疾患の日~ 講演:「障害者の生きる権利と家族の生きる権利」藤岡毅弁護士
https://www.youtube.com/watch?v=eiNqABH3FI8 3/14-3/31限定配信 約2時間の長い講演ですが 重度障害者が尊厳をもって生きていくためには なくてはならない制度「重度訪問介護」について詳しく触れられています 3/20の勉強会でも話題になった通り、介護保険枠がいっぱいになったときに、片麻痺・移動障害・排泄問題行動などがある場合、障害福祉サービスとして利用可能なケースがあります 重度訪問介護は介護保険と違い区分によって使えるサービスが決まるのではなく 障害区分4~6の方が市町村と話し合って支給時間を出してもらいますが ①支援者の理解不足で介護保険では足りない部分を30分とか1時間延長するだけのものと誤解されていたり ②介護者不足のため長時間派遣ができる事業所が見つからない問題 ③報酬単価が介護保険の半分以下なので 経営的な面で厳しい ④患者のハラスメント言動に介護者が長時間支援を拒否・離職につながるケース など様々な問題が赤裸々に語られていて非常に勉強になりますアメリカにおける在宅透析推進の動き
アメリカにおける在宅透析推進の動き
Innovate Kidney Careと「非看護師による在宅透析指導」規制緩和提言について 在宅透析が開発される以前の古い規制などが普及の妨げになっているとして 2021年にASNやNKF、透析医療機器メーカー、医療保険会社、CVS kidney careなどによって立ち上げられました FOX news https://www.fox13now.com/news/health/innovate-kidney-care-provides-patients-with-options Innovate Kidney Care ホームページ https://www.innovatekidneycare.com/ 2022年3月3日 Innovate Kidney Careは、Recommended Changes to Conditions for Coverage to Improve and Modernize Kidney Care と題するPosition Paper(添付)を発表しました CMS(メディケア・メディケイド)に対して在宅透析普及の障害の一つとして腎臓病専門ナースの不足をあげ、非看護師(メーカーなど)による在宅透析指導を認めるよう提案しています 私もこのやりかたはありだと思いますが ANNA(アメリカ看護協会)は即座に反対意見を発表しています https://www.healio.com/news/nephrology/20220317/anna-plan-for-nonnursing-staff-industry-to-conduct-home-dialysis-training-dangerous どのあたりに妥協点をみつけるのか興味深いところです透析導入を見合わせた患者の長期経過についてのシステマティックレビュー JAMA Network Open March. 14, 2022
透析導入を見合わせた患者の長期経過についてのシステマティックレビューがJAMA Network Open March. 14, 2022に掲載されました
Long-term Outcomes Among Patients With Advanced Kidney Disease Who Forgo Maintenance Dialysis: A Systematic Review. Wong SPY, Rubenzik T, Zelnick L, Davison SN, Louden D, Oestreich T, Jennerich AL.JAMA Netw Open. 2022 Mar 1;5(3):e222255. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2022.2255. https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2790040 Invited Commentary | Nephrology Conservative Care for Kidney Failure—The Other Side of the Coin Christine K. Liu, MD, MS; Manjula Kurella Tamura, MD, MPH file:///C:/Users/sshu1/Desktop/liu_2022_ic_220027_1646681703.24293.pdf 41のコホート研究から進行した腎機能障害のある成人5102人を対象 range, 11-812 patients/cohort observation period of 8 to 24 months 5%-99% men mean age range, 60-87 years eGFR 7 to 19 mL/min/1.73 m2 Median survival 1 to 41 months 経過中1-2回の6-16日間の入院 7-8回の外来受診と2回の救急外来person-year受診回数 終末期まで精神状態や身体状態、QOLは保たれていた 死亡の場所 20% to 76% ホスピス, 27% to 68% 病院 and 12% to 71% 自宅 死亡した患者の経過中57% to 76%が入院、4% to 47%が死亡前1ヶ月に侵襲的な治療 終末期まで比較的症状は安定しているが急性期医療サービスの利用は一般的でCKMの提供についてはばらつきが大きかった透析の見合わせ・終了の実態 2022/05/17 日経メディカル
日経メディカルの良記事 よくまとまっています
全国調査で透析の見合わせ・終了の実態が初めて明らかに 全国での透析見合わせ・終了は2年で1409例 2022/05/17 小板橋律子 日経メディカル 東邦大学医療センター大森病院腎センター主任教授の酒井謙氏らによる、日本医療研究開発機構(AMED)の長寿科学研究開発事業である「高齢腎不全患者に対する腎代替療法の開始/見合わせの意思決定プロセスと最適な緩和医療・ケアの構築(研究代表 柏原直樹氏)」の研究の一環として、全国における透析見合わせ(非開始)や終了の現状を調査。 https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/report/t340/202205/574956.htmlDouble purse-stringテクニック
タバコ縫合を2重にかける、Double purse-stringテクニックを行うことがリーク予防に有効です
私はルーチンに行うようにしています
偶然ですがミラノ大学も同じ手術手技を行っていて論文化していました Double purse-string around the inner cuff of the peritoneal catheter: A novel technique for an immediate initiation of continuous peritoneal dialysis. Scalamogna A, Nardelli L, Zanoni F, Messa P. Int J Artif Organs. 2020 Jun;43(6):365-371. doi: 10.1177/0391398819891735. Epub 2019 Dec 19.欧州におけるアシステッドPD Availability of assisted peritoneal dialysis in Europe: call for increased and equal access. Nephrol Dial Transplant. 2022 Jun 7
Availability of assisted peritoneal dialysis in Europe: call for increased and equal access.
Nephrol Dial Transplant. 2022 Jun 7 検討対象であったヨーロッパ13カ国中、5カ国でのみアシステッドPDが公的補助対象 フレイル患者にアシステッドPDを拡充する上で公的補助制度の確立や医療介護者の教育がますます必要という内容 https://academic.oup.com/ndt/advance-article-pdf/doi/10.1093/ndt/gfac193/43972690/gfac193.pdf在支診における腹膜透析連携について
在支診の現状(多患者低密度診療)では通院困難透析患者の透析管理は荷が重すぎるようです(そもそも多疾患併存の難しい症例が多い)
透析医療に造詣が深い一部の在支診医師以外は併診が必須です その併診方法にはさまざまあると思いますが、いろいろ試行錯誤した結果、鹿児島での私どものスタイルです ------------------------------------------------------------------------------- 【情報共有方法】通常時 MedicalCareStationを活用、サマリーや退院時指示、外来記録も詳細に記載 訪問看護訪問時リアルタイムに報告・速やかなレスポンス 緊急時のみ携帯電話・ラインなどで連絡 【手術】アクセス関連手術は自院・導入病院へ出張手術も行う 【導入】自院入院・外来導入・他院(DPC・地域包括)導入いずれもあり 【訪問看護】連携訪問看護ステーション50ヶ所以上あり 連携のための勉強会はまめに年間20-30回行っている(ボランティア) 【レスパイト】地域包括病棟・ショートステイなどが利用可 【処方】更生医療指定医療機関から(内服・透析液) 【外来】在支診外来(非常勤) 内服・透析処方 【訪問診療】在支診契約 定期訪問(非常勤) 【往診・対診】特養・病院(小児医療センター・慢性期・精神科)・臨時往診など 【管理料】原則、透析液処方更生医療指定機関が算定(3ヶ月に1回 更生医療指定医療機関、間の2ヶ月は在支診というケースも有り) 【緊急時対応】透析関連→自前で対応 全身状態の安定している腹膜炎などは訪問看護で対応 非透析関連→在支診の基幹病院連携ネットワーク 在支診常勤医のバックアップ、情報共有方法 → MCSサマリー 訪問看護 在支診からの診療情報提供 【遠隔モニタリング】かぐや50台以上が稼働中 処方調整・OJT教育・情報共有に活用 【看取り】原則在宅・施設看取り アフターコロナ、腹膜透析患者の看取りは、全例、在宅・施設看取り 【医療者のワークスタイル】 ITによりマルチワークスタイルが可能に 医療者の意識変化(医局中心終身雇用→職能型雇用・地域貢献) 兼業(特にナース)への常勤雇用主の考え方の変化が必要 医療人材の地域における有効活用(病院で囲い込みすることの弊害) 【その他】 検査 院内および外注で24時間対応可能 訪問看護(受診前事前採血・機器・透析液の対応まで) 鹿児島腹膜透析ネットワーク→基幹病院医師・看護師は顔なじみ通院困難患者アシステッドPD普及を阻害する別の側面
通院困難患者アシステッドPD普及を阻害する別の側面
地域の受け皿づくりの不足が従来指摘されてきた要因であるが 次のような側面もあるようだ ① 腹膜透析導入・基幹病院が患者を手放さない 要因 導入患者数が少ないので維持数確保のため→導入病院外来で維持しようとする意識が働くと通院困難アシステッドPDを積極的に導入しなくなり、結果、HDに誘導してしまっている 収益確保のため→科別・部門別売上や収益が重視されているため 在支診に紹介されたときはすでに終末期状態のときもある 逆に導入数の多い病院では紹介しやすい傾向があるようだ 解決策 導入病院の導入数の確保 導入数が増えると外来通院患者も増える→通院困難アシストPDは在支診へ紹介する流れに そのためには、通院困難アシステッドPD患者の導入後出口戦略(2週間以内のスムーズな在宅退院の協働)や退院後手技指導(訪問看護の活用)、導入前からのアシスト方針策定(訪問看護・施設選定・介護保険の要否)が大切 ② PDの良い適応である血液透析困難患者・通院困難患者・家族が腹膜透析への療法変更を勧めても受け入れない 要因 いまさら手術を受けてまで治療法を変更したくない 透析患者終末期トラジェクトリーをイメージできていない(説明されていない) 社会的入院透析すれば良いと思っている 通院困難アシステッドPDサポート体制が不完全・未確立であり勧める側にも不安があるため説得力にかける 医療者のコミュニケーションスキル(不都合な真実を伝える技術・共感性) 解決策 コミュニケーションスキル 終末期透析医療の現実を伝える(20年以上前の癌告知議論に似ている、すべて正確に伝えるべきのが当然になっている) 終末期透析患者管理・通院困難透析患者へPDを活用している医師・ナースのメンターシップ・在宅腹膜透析を支える会のコンサルテーション活用 ③ 腎代替療法選択外来を担当している医師(腎臓内科が多い)への啓蒙 腎臓内科学会への働きかけ 通院困難患者アシステッドPDや緩和的PDのシンポジウム企画 地域ごとの導入基幹病院を中心とした腹膜透析支援在宅支援診療所の連携提案 通院困難透析患者は多疾患合併管理困難症例が多い 安易な社会的入院に逃げずに、安楽な終末期まで診てゆくためには経験と技量が必要、透析経験のない医師には管理困難 どこと連携するかは慎重に吟味する必要あり、現状のJSPD連携医制度では質担保までは無理(だが啓蒙普及には価値あり) 最近は腹膜透析実務経験のある医師の在支診開業も増えてきているので活用すべき ④ その他 メディケア・メディケイドで行われているように、血液透析施設で年最低1回は患者への療法変更説明を義務付ける(なぜ腎移植や腹膜透析ができないのかの説明、適切な説明をしていない透析施設・医師への診療報酬ペナルティと指導医・専門医資格更新時の再トレーニング義務化) 腎代替療法基幹病院における腎移植や腹膜透析導入患者実数のベンチマークスタディを行い、血液透析に極端に偏っている病院名の公表 初回内シャント手術においてグラフト作成率>5%の病院名を調査公表、手術手技再トレーニングや適切な腎代替療法指導トレーニングの義務付け 社会的入院透析病院の実態を調査報道し透析患者の終末期のあり方を社会全体で再考してもらう(かつて精神科病院の問題が明らかになったように)NxStageに替わる在宅血液透析ゲームチェンジャーになる可能性のあるQuanta SC+
イギリスの在宅血液透析ベンチャーQuanta SC+
NxStageに替わる在宅血液透析ゲームチェンジャーになる可能性のあるQuanta SC+ 2019年のADCに出展していて話題になっていました https://homedialysis.org/news-and-research/blog/303-quanta-sc-hd-machine-on-the-horizon-a-2019-update 2022年7月12日イギリスガーディアン紙に革新的な工業製品に贈られるMacRobert award受賞の記事が出ていたのでまとめておきます https://macrobertaward.raeng.org.uk/ Quantaは2008年にUKにて創業した医療ベンチャーです ジュース販売機のような在宅血液透析機器開発を目標にSC+を上市、2022年7月現在、イギリスでは50名の患者が使用しているそうです https://www.theguardian.com/technology/2022/jul/12/dialysis-machine-inspired-by-juice-dispenser-wins-uk-engineering-prize?utm_term=Autofeed&CMP=twt_gu&utm_medium&utm_source=Twitter#Echobox=1657661683 腹膜透析APDと同じようなtwin head pumpシステムのカートリッジをセットすることで透析回路をシンプルにしています 透析液バッグで行うNxStageと異なり、透析液供給システムが備わっていますので透析量をより増やすことができます https://www.quantadt.com/ 2008年 イングランドWarwickshireにて創業 2019年からNxStage Medicalの科学顧問だったManitoba大学教授Dr Paul KomendaがChief Medical Officerに就任 2021年 アメリカFDA認可 https://www.quantadt.com/news/news/quanta-receives-fda-510-k-clearance-for-the-sc-hemodialysis-system-setting-the-stage-for-us-market-launch/ ベンチャーキャピタルから2億4500万ドルの資金調達に成功しています いまのところ日本での提携先はないようですが、選択肢が増えることは大歓迎ですねSGLT2阻害剤の腹膜透析に関するレビュー
ブリティッシュコロンビア大学腎臓内科Megan Borkumらは2022年5月PDIにSGLT2阻害剤の腹膜透析に関するレビュー
The rationale for the need to study sodium-glucose co-transport 2 inhibitor usage in peritoneal dialysis patients. Borkum M, Jamal A, Suneet Singh R, Levin A. Perit Dial Int. 2022 May 2:8968608221096556. doi: 10.1177/08968608221096556. Online ahead of print. SGLT2阻害剤と腹膜透析についてよくまとまっています フリーなのでぜひ一読をおすすめいたします https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/08968608221096556 SGLT2阻害剤はCKD進展予防に効果的なことはエビデンスが確立しており、機序を考えるとESRDの残腎機能保持にも効果があるのは当然と思います 残腎機能保持の重要さについては、皆さんご存知の CANUSA studyで 24時間尿量が250 ml増加すると相対死亡リスクが36%減少することが示されております 残腎機能保持のためにできることとして 腹膜炎の予防、腎毒性薬剤回避、生体適合性PD液、RAAS阻害剤など、現在の戦略は限られており SGLT2阻害剤(やMR拮抗薬)が加わることは価値があります 本レビューでは、SGLT2阻害剤は、残腎機能保持の他に、アルブミン尿の減少、心保護作用、腹膜保護作用などの効果も期待でき、PDを含むESRD患者を対象にした臨床試験を行うことが望ましいと述べていますUrgent Strat PD
私は、2014年よりUrgent Strat PD(カテーテル留置から24時間以内の貯留開始)を採用してきました
文献をまとめておきます
2017年からUrgent Strat PD を取り入れているブラジルからの興味深い報告
Urgent Strat PDによる導入を開始してから、なんと、3年間でPD患者数が256%と驚異的に増加したそうです Urgent-start dialysis: Comparison of complications and outcomes between peritoneal dialysis and haemodialysis. Dias DB, Mendes ML, Caramori JT, Falbo Dos Reis P, Ponce D. Perit Dial Int. 2021 Mar;41(2):244-252. doi: 10.1177/0896860820915021. Epub 2020 Mar 30. https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/0896860820915021 PD患者増加には、やはり、Urgent start PDによるスムーズな導入が鍵になっているようです Urgent-Start Peritoneal Dialysis: The First Year of Brazilian Experience. Bitencourt Dias D, Mendes ML, Burgugi Banin V, Barretti P, Ponce D. Blood Purif. 2017;44(4):283-287. カテーテル挿入はタイのベッドサイド挿入と同じ方法 http://www.jmatonline.com/files/journals/1/articles/1495/public/1495-4560-1-PB.pdf 腎臓内科医による挿入 局麻下経皮セルジンガー法 正中もしくは傍腹直筋アプローチ コイル型カテーテル 深部カフのタバコ縫合なし、腹直筋前鞘前面に留置 彼らは72時間以内にHigh volume PD (30ml/kg)の透析液貯留を行うそうです カテーテルトラブルは多い印象 外科的修復を要したカテーテル位置異常 8/51例 15.6% リーク 4/51例 7.8% 興味深いのは、退院後は手技取得まで透析センターで隔日8-10hのAPDトレーニングを行うそうです(夜間?) 日本も夜間は透析室ベッド空いてるので、オーバーナイトPDトレーニングもありですね
2020年にCochrane ReviewでもUrgent Start PDを支持するレビューとなっています https://www.cochranelibrary.com/cdsr/doi/10.1002/14651858.CD012913.pub2/epdf/full タイから緊急導入でも問題なくできるという内容の論文が出ました June 10, 2022 Kidney International Reportsにタイのマハラトナコンラチャシマー病院からの2-4週間の血液透析後にPD導入した群とUrgent Start PD群を比較した論文 https://www.kireports.org/article/S2468-0249(22)01434-6/fulltext この病院は1680床もあるタイの巨大基幹病院のようです 2018年11月から2020年2月、緊急透析導入の必要な成人207人を対象 2-4週間の血液透析後にPD導入した群とUrgent Start PD群の比較 導入6週目の死亡率に差はなく、複合的合併症は37% vs 19%、透析関連合併症 24% vs 4% とUrgent Start PD群のほうが少なかった 結論として、緊急透析導入もUrgent start PDで問題なくできるということです カテーテル留置は年間30例以上3年以上の手術経験のあるベテラン腎臓内科医によって局麻下セルジンガー法で留置 タイは痩せているひとが多いのでテンコフ留置は容易だろうなと想像 また、腎臓内科医がカテ留置を行うので、外科コンサルが不要で、緊急導入時に即座にカテ留置できる背景もあるようです 貯留量は800-1000mlを仰臥位で開始し、2週間以内に1.5-2.0Lまで貯留量を増加 CAPDは5日/週とされていています、公的病院なので土日は公務員は働かないのかな?
リークはやはりUrgent Startのほうが7/104と多い(HD→PD2/103)ようですがなんとかなったと書いてありますね セルジンガーなのでこのくらいのリークはしょうがないでしょうね 私どもは小開創でduble purse-stringなのでリークはゼロです
高齢腎不全患者に対応する医療・ケア従事者のための意思決定支援ツール
東京大学上廣死生学・応用倫理講座
https://www.l.u-tokyo.ac.jp/dls/ 会田先生の臨床倫理プロジェクトのページから【高齢腎不全患者に対応する医療・ケア従事者のための意思決定支援ツール】がダウンロードできます https://www.l.u-tokyo.ac.jp/dls/cleth/tool.html マンガで分かりやすい内容になっています 第1章 「維持血液透析を『やめたい』と患者さんがいうとき」 第2章 「カンファレンスの方法―保存的腎臓療法の選択を検討する事例を題材に」 第3章 「認知機能が低下した高齢患者のための意思決定支援」 第4章 「多職種連携による共同意思決定(SDM)のあり方 ― 維持血液透析の見合わせ・看取りの症例を題材に」 このような形で高齢腎不全について考えるきっかけになることは良いことですが この元になるAMED研究分担者は、大学所属の先生たちで構成されており、しかも研究方法は施設アンケートが中心であるため、リアルな臨床現場の状況反映がまだまだ不十分であると感じました 経験の浅い中途半端な知識を持つ医療スタッフにありがちなことですが このようなツールが不適切に使用され、適切な治療提案が行われず、非導入・緩和ケア、偽装された安楽死への誘導にならぬよう注意しなければなりません AMED研究開発課題「高齢腎不全患者に対する腎代替療法の開始/見合わせの意思決定プロセスと最適な緩和医療・ケアの構築」(研究代表者:川崎医科大学副学長 腎臓・高血圧内科学教授 柏原直樹氏) 会田薫子先生分担班の研究開発課題「高齢腎不全患者(人生の最終段階を含む)に対する共同意思決定による最適な腎代替療法選択、非導入の意思決定プロセスの構築」スムーズな腹膜透析導入のための6つのキートピック
スムーズな導入のための6つのキートピック
①療法選択とはどうあるべきか IC→SDM→CDM→Nudge リバタリアン・パターナリズム ②不都合な真実も正確に伝えよう 真に必要な腎代替療法の知識 不都合な真実をどう伝えるべきか 共感性を高めるためのナラティブアプローチ ③お金と介護の不安を解消しよう お金がないと言われたら? 家族に協力できないと言われたら? 医療介護保険制度に詳しくなろう ④トラブルのないカテーテル留置術 導入期のカテーテルトラブルを回避する工夫 Urgent-start PDを積極的に導入しよう ⑤RPM/SNS連携で診療密度を高めよう かぐや/シェアソース・メディカルケアステーション 訪問看護との協働体制セットアップ ⑥業務効率化を徹底的に意識しよう 仕事のエフォートは60%程度が適正 5時に帰宅する仕事術在宅透析の心循環への好ましい影響について 【Cardiovascular Effects of Home Dialysis Therapies: A Scientific Statement From the American Heart Association】
AHAから在宅透析の心循環への好ましい影響についてscientific statementが出されました
内容に目新しい事はありませんが、フリーで循環器内科向けに在宅透析について分かりやすく概説されているのでお時間あるときに一読をおすすめいたします 【Cardiovascular Effects of Home Dialysis Therapies: A Scientific Statement From the American Heart Association】 Circulation. 2022 Aug 15: doi: 10.1161/CIR.0000000000001088. Online ahead of print. PMID: 35968722 Review. https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/CIR.0000000000001088?utm_campaign=sciencenews22-23&utm_source=science-news&utm_medium=phd-link&utm_content=phd-08-18-22#d59776954e1 2022年現在、アメリカでは透析患者の13.1%が在宅透析を行っており、1.9%が在宅血液透析、11.2%が腹膜透析を行っています。 2019年トランプ大統領によって発出された、センター透析を縮小させ、在宅透析のメリットを拡大推進させる大統領令AAKHI(Advancing American Kidney Health Initiative) を受けて、アメリカの透析医療は大きな変化の中にあります。 Circulationでは、循環器内科医にこのトレンドをキャッチアップさせる目的で、今回のAHA scientific statement【Cardiovascular Effects of Home Dialysis Therapies: A Scientific Statement From the American Heart Association】を出しているようです。 ですから、内容に目新しいことはなく、循環器内科医に在宅透析の啓蒙をおこなう目的がメインのようです。 日本でいうと、小倉記念病院や千葉西病院のように循環器患者の多いところは自然とESRD患者も集まるわけで、CKD患者を併診する機会の多い循環器科の医師も在宅透析のメリットを知っている必要があるということです。 その中でも腹膜透析に関して強調されていることは 腹水患者、LVADs(左室補助人工心臓)、肺高血圧症、大動脈狭窄、ペースメーカーなど血管内人工物のある患者にとって腹膜透析はメリットが大きいこと。 Conclusionで述べられているポイントは 循環器科視点から見ても週3回のセンター透析より在宅透析のほうがメリットが大きいことは明らか、ただし、良質な比較研究はない 質の高い在宅血液透析と腹膜透析はすべての腎不全患者がよりアクセスしやすくするべき(Health Equity and Access to Home Therapies 松本注:低所得者や非白人が在宅透析アクセスから疎外され、営利目的のセンター透析に誘導されていることが社会問題化しています) 腹膜透析は、急性期病院、リハビリセンター、老人ホーム、skilled nursing facilities(日本での特養に相当)でも対応可能にするべき(松本注:アシステッドPDの普及推進のことですね) 腎臓内科医や非腎臓内科医はセンター血液透析一択にならぬよう、在宅透析についてのきちんとしたトレーニングを受け、循環器疾患患者においてメリットの大きい適切なSDMに基づいた在宅透析が提供できるようになるべきである(松本注:これがこのAHA Statementで言いたいことですね)米国における営利目的の不適切な内シャント治療と訴訟
2022/7/13 北米フレゼニウスグループが不要な内シャントPTA治療を営利目的で行っているという、衝撃的な腎臓内科医の内部告発から始まった訴訟が、連邦虚偽請求法で連邦政府も原告に加わるということで大騒動になっていることをお伝えいたしました
https://www.justice.gov/usao-edny/pr/united-states-files-claims-alleging-fresenius-vascular-care-inc-defrauded-medicare-and ヘルスケアネットニュースでも取り上げられていました DOJ files False Claims Act case against dialysis giant Fresenius alleging unnecessary vascular procedures https://www.fiercehealthcare.com/providers/doj-joins-whistleblower-suit-accusing-fresenius-medical-care-performing-thousands 北米フレゼニウスメディカルケア(FMCNA)は2500以上の透析ユニットで20万人を超える透析患者を治療しているメガ透析フランチャイジーです フレゼニウス傘下のバスキュラーアクセスセンターAzura Vascular Care(Azura)は全米に60以上のユニットがあります https://www.azuravascularcare.com/ ニューヨークのユニットで2012-2018年に行われた2303件のVA治療のうち1288件(55.92%)が医学的に不必要だったと指摘されています メディケアが今回この訴訟に参加することになった背景には、ニューヨークでシャントPTAに関する大きな診療報酬詐欺事件があったためのようです 2018 年 12 月 中国上海の名門、復旦大学出身でMount Sinai Beth Israel勤務経験もあるニューヨークマンハッタンで開業していた血管外科医Feng Qinが内シャントPTAの費用をメディケアに不正請求した罪で起訴され 2021年3月 なんと80万ドルもの巨額賠償金支払いと4年間の公的保険指定医停止処分を受け入れた事件があったのです https://www.medpagetoday.com/special-reports/exclusives/91586 個人クリニックでこの額ですから、フランチャイジーでは天文学的な賠償金になることが予測されます、当然ながらフレゼニウス以外の透析アクセスセンターもターゲットにするでしょう ちなみに20年前のアメリカUSRDSによると透析関連医療費の25%程度がアクセス関連医療費と言われており Butterly D, Schwab SJ: Reducing the risk of hemodialysis access. Am J Kidney Dis 34: 362-363, 1999 国内では、2001年に大平整爾先生が、当時の血液透析患者数17.5万人にたいする、透析医療費9275億円、アクセス関連医療費877億円(9.5%)、修復要する医療費83億円(0.9%)と推定していました。 透析会誌 34 (2): 107~108, 2001 6. 透析医療経済とブラッドアクセス 第45回日本透析医学会パネルディスカッションより https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsdt1994/34/2/34_2_107/_pdf 当時、シャントPTAは処置料のみの算定でしたが、現在は手技料12000点が請求可能となっており、PCB( 138,000円)やDCB(IN.PACT170,000円)、ステントグラフト(VIABAHN340,000円)のような超高価なデバイスも頻用されており、近年、アクセス関連医療費は血液透析関連医療費の25%程度かそれ以上になっている可能性すらあります。 実際、透析施設における収益はアクセス関連によるものが圧倒的に大きく、透析アクセス専業クリニックも数多く開業しています。 透析アクセス治療が地域内でできず、市をまたいで越境で治療を行っている場合、ただでさえ大赤字の市町村国民健康保険や後期高齢者広域連合から資金が域外流出しています。 我が国でも、医学的適応のない内シャント治療が営利目的で不必要に行われていないか、厳格な監視が必要になっています。医師・弁護士ダブルライセンスを持つ竹口先生の講演会
第18回東京西南部腎不全医療研究会 日時 : 令和4年9月13日(火)19:00 ~ 20:00 形式 : ハイブリッド開催(会場:TKPガーデンシティ渋谷4D) 参加登録 https://bit.ly/3PR3t1j 医療訴訟の構造 -透析見合わせの場合- 竹口 文博 先生 弁護士(第一東京弁護士会 総合法律研究所 医事法部会所属) 東京医科大学 腎臓内科学分野 兼任准教授
医師・弁護士ダブルライセンスを持つ竹口先生の講演会
現状すべての医師は説明義務違反・注意義務違反で訴訟対象であると学びました
竹口先生の講演ポイントメモ
法律的な解釈として 医療機関は治療を行うことによって社会的価値があり、患者は治療を求めて受診するのであるから、医師は治療推奨するのが原則 患者が透析拒否であったとしてもまずは説得することが医師の義務 腎不全治療の選択肢として腎移植や腹膜透析の説明を行わなかったら説明義務違反 透析拒否の意思表示があり、いったん透析中止しても、意思変更あればいつでも撤回可能で再度透析再開できる、ということを説明する義務がある 患者の意思は、適宜、家族など第3者とともに確認する義務がある 適切なセカンドオピニオンの提案を行う義務もある 以上について公的文書であるカルテに記載を行っておく必要がある(最も重要)肝硬変大量腹水腎不全患者の腹膜透析とアルブミン投与
肝硬変大量腹水腎不全患者に腹膜透析導入することがあります
腹膜透析導入により腹満改善し食事量は増えることが多いですが、それでも排液に喪失するアルブミンも多いのでアルブミンの投与が必要なケースが殆んどです このような非代償性肝硬変低アルブミン血症へのアルブミン投与量の制限は現在なくなっています(レセ詳記は必要) SBP予防や薬物キャリアーとしてのアルブミンの補充効果が期待できます、下記記事がよくまとまっています 大きく変わった肝硬変診療におけるアルブミンの使い方 2021/12 ~知っておくべき知識のアップデート~ 奈良県立医科大学消化器代謝内科 教授 吉治 仁志 先生 https://www.jbpo.or.jp/med/jb_square/alb/report/01/01.php重度訪問介護について
障害を持つ腹膜透析患者さんに在宅生活をおくってもらうため、障害福祉制度である重度訪問介護を活用する方法があります
あまり周知されておらず利用も地域差が大きいようです 東京新聞による良記事です 「重度訪問介護」の利用が低迷しているのはなぜなのか…障害者の1人暮らしが当たり前にならない現実 2022年11月4日 東京新聞 https://www.tokyo-np.co.jp/article/211863 「重度訪問介護」利用率に地域間格差 東京は栃木の18倍 国「問題ではない」 調査企業や現場の訴えは? 2022年12月5日 東京新聞 https://www.tokyo-np.co.jp/article/217881介護老人保健施設入所者に対して医療保険から算定できる医療サービスの概要 2008中医協 資料
介護老人保健施設入所者に対して医療保険から算定できる医療サービスの概要 2008中医協 資料
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/10/dl/s1022-8h.pdf
介護老人保健施設入所者に対して医療保険から算定できる特定保険医療材料 001腹膜透析液交換セット 002在宅中心静脈栄養用輸液セット 003在宅寝たきり患者処置用気管内ディスポーザブルカテーテル 004在宅寝たきり患者処置用膀胱留置用ディスポーザブルカテーテル 005在宅寝たきり患者処置用栄養用ディスポーザブルカテーテル 006在宅血液透析用特定保険医療材料(回路を含む)(1)ダイアライザー2)吸着型血液浄化器病院・診療所と在支診連携時の在宅療養指導管理料算定
病院・診療所と在支診連携時の在宅療養指導管理料算定について
それぞれ別個に管理料算定が可能(例:病院→腹膜 在支診→在宅自己注射指導管理料 ) 令和4年の診療報酬改定 第3 関係法令等 (2)1の診療報酬の一部を改正する件 令和4年厚生労働省告示第54号 別表第1の128ページ 第2節 在宅療養指導管理料 第1款 在宅療養指導管理料 3「高額介護サービス費」制度について
「高額介護サービス費」制度について
介護保険サービスの自己負担額は所得に応じて1〜3割 例えば、要介護5で2割負担だと、37万円の2割負担で7万2,000円/月とかなり高額になります 施設入所の場合、さらに12-16万円/月程度の入所費用がかかると費用負担はさらに高額になってしまいます 最近、比較的年金収入がある方(下記の区分で④に相当)で、施設入所時に費用負担がハードルになったケースがありましたので「高額介護サービス費」制度についてまとめておきます 医療保険における高額療養費制度の介護保険版が「高額介護サービス費」になります 負担上限は収入によって6段階あります ①生活保護を受給している方等 負担上限1万5,000円 ②全員が市区町村民税非課税の世帯かつ前年の公的年金等収入金額+その他の合計所得金額の合計が80万円以下の方等 1万5,000円(個人) 2万4,600円(世帯) ③全員が市区町村民税非課税の世帯(①②に該当しない方) 2万4,600円(世帯) ④市区町村民課税~課税所得380万円(年収約770万円)未満 4万4,400円(世帯) ⑤課税所得380万円(年収約770万円)~課税所得690万円(年収約1,160万円)未満 9万3,000円(世帯) ⑥課税所得690万円(年収約1,160万円)以上 14万100円(世帯) 患者さんは在宅で腹膜透析おこなっていましたが脳幹梗塞発症、急性期病院で気管切開・腸瘻PTEG造設 本人のACP/DNARオーダーあったにも関わらず家族希望で延命処置フルコース 回復期リハ期限切れで退院勧奨、ADL全介助状態で紹介、施設入所をセットアップ 年金収入多いとはいえ施設入所になると配偶者の生活費が消えてしまう状況 要介護5の37万円の2割負担で7万2,000円/月→「高額介護サービス費」自己負担4万4,400円 施設費勉強してもらって10万円/月 合わせて14万4000円/月の費用負担で入所 腹膜透析や吸痰、経管栄養は有料老人ホーム看護師が施行 私が訪問診療で医学的管理(腹膜透析・気切・腸瘻PTEG) サービス利用料の自己負担額が上限額を上回った場合、自治体から支給申請書が自動的に送られてきます 高額介護サービス費の支給対象となるのは、「居宅サービス」「介護施設サービス」「地域密着型サービス」 施設サービスの食費、居住費、日常生活費などは、もともと介護保険対象外の費用なので、高額介護サービス費の対象からは外れます https://kaigo.homes.co.jp/manual/insurance/payment/kougakukaigo/ ちなみに、入院中の費用負担は3万円/月(身体障害者1級かつ経管栄養なので光熱費とおむつ代+αのみ)だったそうです これでは、日本中で社会的入院が増えるわけです 社会コストで考えると施設入所のほうが圧倒的に低廉なのですから、入院→施設としたときの患者・施設への経済的インセンティブが必要ですAPDの電気代について
電気代高騰していますがAPDの電気代について参考まで
APDかぐや平均消費電力 400W程度として(最大消費電力720W) 平均消費電力で夜間8時間月30日稼働 400W x8h x30days = 96000Wh/月 1kWhあたりの電力量料金を26円とすると 26円/kWh x 96KW = 2496円 /月(83.2円/日)医療機関以外の介護現場で実施される事項についてが医行為であるか否かについて
医療機関以外の介護現場で実施される事項についてが医行為であるか否かについて、医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(医政発1201第4号 令和4年12月1日)
https://www.city.kobe.lg.jp/documents/48676/20221201ikoui2.pdf
看護師や介護職員の医療(補助)行為について 東京都医師会
https://www.tokyo.med.or.jp/docs/handbook/338-348.pdf
腹膜透析については記載がないのですが、過去の疑義照会の結果、厚生労働省の見解として、APDセットアップ、接合・切り離し、CAPD注排液、アラーム対応は医療行為にあたるので看護師である必要があります 機材準備・APD電源・片付けは上記解釈に準じてケアスタッフでも可能と考えています しかしながら、我が国の人口減少高齢化の状況では、吸痰や経管栄養と同様もしくは中国のように、トレーニングを受けたケアスタッフに腹膜透析看護業務をタスクシフトする必要が早急にあると感じています医心館 医療難民を救う「在宅型医療病床」は社会的入院透析患者の福音になるか
日本の富豪ランキング2022 Forbes JAPAN
医心館の柴原慶一先生が1750億円で34位にランクインしています
https://forbesjapan.com/feat/japanrich/ 柴原先生は1964年生まれ名古屋大学医学部出身、京都大学で分子生物学者として研究されていましたが2010年46歳のときに一念発起して在宅介護分野に転身 在宅型医療病床という概念でがんや難病患者などの終末期・慢性期のケアに特化した住宅型有料老人ホーム「医心館」を展開し急成長 https://ishinkan.amvis.com/ わたしはこの本を立ち読みして知りました 医療難民を救う「在宅型医療病床」幻冬舎メディアコンサルティング(2018/08発売) https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784344917767 2019年にジャスダックにアンビスホールディングスを上場 https://www.mag2.com/p/money/823992 腹膜透析と医心館の取り組みは親和性が高いと感じており、以前より連絡を取っていましたが、透析業界との棲み分けを気にされ躊躇されていました 最近、ポストコロナ時代ニューノーマルに応じ透析領域も対応することにしたそうです(個人的コミュニケーション) 医療依存度の高い腹膜透析患者が施設でディストピア病院に比べ極めて高いQOLで生活できることを鹿児島の【あおぞらケアグループ】との経験で知っているので、ぜひ柴原先生にも頑張っていただきノウハウを共有し協力してゆきたいと考えています 異常に保守的で閉塞した医療業界はこのようなところから革命的変化が起きるのだと思います血液透析患者の内シャントによる脳虚血と認知症
血液透析は腹膜透析より高齢者の認知症発症リスクが高いことは以前から指摘されています
2019年JASNで血液透析患者の透析中の脳血流低下による認知症発症について証明した論文が発表され、血液透析患者の脳を保護するための方策が速やかに必要と指摘されていました 高齢者にラージシャントになるグラフト造設による血液透析は認知症リスクを高めるため医学的禁忌に近いという臨床上の実感が証明されたのでした Investigating the Relationship between Cerebral Blood Flow and Cognitive Function in Hemodialysis Patients. J Am Soc Nephrol. 2019 Jan;30(1):147-158. https://jasn.asnjournals.org/content/30/1/147 Hemodialysis linked with decline in cognitive function. Nephrology News & Issues Dec. 17. 2018 https://www.healio.com/nephrology/chronic-kidney-disease/news/online/%7B9d723d2a-bf06-4fc7-8d00-5acb4dd2c623%7D/hemodialysis-linked-with-decline-in-cognitive-function 2021年にはカナダオンタリオLawson Health Research InstituteのAnazodo, Udunna CらがDialysis-Associated Neurovascular Injury (DANI)というコンセプトを提唱 https://journals.lww.com/cjasn/Fulltext/2021/07000/Dialysis_Associated_Neurovascular_Injury__DANI__in.20.aspx 不均衡症候群と同様の機序を考えているようでした(フリーなので添付しておきました) 私は個人的にはシャント肢側の脳血流低下と頚静脈逆流による脳還流不全(脳うっ血)が大きな原因ではないかと考えています 2023年3月JASNに同じグループ(カナダオンタリオLawson Health Research Institute)のAnazodo, Udunna Cらが、血液透析中のMRIとスペクトを用い、血液透析前と終了60分前の評価を行い論文化しています その結果、驚いたことにたった1回の血液透析セッションでも、脳虚血による白質の脳浮腫や脳代謝障害(N -アセチル アスパラギン酸およびコリン濃度の減少)が起きることを示しています Hemodialysis-Related Acute Brain Injury Demonstrated by Application of Intradialytic Magnetic Resonance Imaging and Spectroscopy. Anazodo UC, Wong DY, Théberge J, Dacey M, Gomes J, Penny JD, Van Ginkel M, Poirier SE, McIntyre CW. J Am Soc Nephrol (IF: 10.12; Q1). 2023 Mar 9. https://journals.lww.com/jasn/Abstract/9900/Hemodialysis_Related_Acute_Brain_Injury.96.aspx この論文のMRI/SPECTの画像(画像)をみるとシャント肢片側性障害の脳白質障害が主で代謝性というよりシャント肢脳血流逆流による脳うっ血による血流障害と考えるほうが素直ですね 左右頚動静脈血流量とMRI/SPETの相関をみてみると良いと思います 血液透析によるDialysis-Associated Neurovascular Injury (DANI)は深刻な事実ですが、患者さんに知らされていないのは大きな問題だと感じています ラージシャントの流量調整は当然ですが、そもそもラージシャントになってしまうグラフトや近位側内シャントを回避すること、腎移植・腹膜透析という腎代替療法オルタナティブの提案を積極的に行う義務が私達にはあります また、高齢者に認知症を進行させてしまう血液透析ではなくアシステッドPDを提供できるようにすることもますます重要になってきますシリコーンカテーテルとヨードについて テンコフカテーテル出口部のイソジン消毒に関する考察 Silicone Catheters and Iodine. Considerations for Iodine Disinfection of Tenchoff Catheter Exit Site.
私どもは、下記のような感染リスクの高い患者には、イソジンゲルを出口部処置にルーチンで使用 しております 低栄養・ 緊急導入・ 高度尿毒症・ 糖尿病・ ステロイド・ 超高齢など しかしながら、テンコフカテーテル添付文書に、下記のように書かれており、イソジンの使用は大丈夫なのかと、よ...
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腹膜透析と血液透析の治療成績はほぼ同等であると言われているにもかかわらず、腹膜透析が普及していない原因についてはさまざま指摘されていますが、テクニカルにはいずれも克服できるものであると考えられています。 Epidemiology of peritoneal dialysis ...
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2025年1月12日 m3.com医療維新、松永正訓(ただし)先生の連載「けっこう楽しい開業医ライフ」に、【医師こそ読むべき『透析を止めた日』】というタイトルの記事がアップされました。 https://www.m3.com/news/iryoishin/1252044 本質を突...
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当院では、局所麻酔&腹壁ブロック+プレセデックス鎮静による、小開創テンコフカテーテル留置術を採用してきました。手術時間は20-30分程度、特別な機器も必要とせずカテーテルトラブルも少ない安定した術式です。 さらなる術式改良を目指し、低侵襲な術式の改善を模索してきました。 最...